テクノロジーで戦争なおすすめアニメランキング 11

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのテクノロジーで戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のテクノロジーで戦争なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.3 1 テクノロジーで戦争なアニメランキング1位
アルドノア・ゼロ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (2737)
14371人が棚に入れました
火星の騎士たちが空から降ってくる。鋼で作られた巨人を駆って。地球人類を職滅するために。監督・あおきえい、ストーリー・虚淵玄のタッグで制作されるオリジナルTVアニメ。

声優・キャラクター
花江夏樹、小野賢章、雨宮天、三澤紗千香、小松未可子、村田太志、加隈亜衣、山谷祥生、大原さやか、中井和哉、鳥海浩輔、茅野愛衣、嶋村侑、水瀬いのり、速水奨、大川透、櫻井孝宏、安元洋貴、河西健吾、斉藤壮馬、古川慎
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

戦争が、こうまで人を変えるなんて…

(2014.7/13 1話)
火星に人類が進出して幾年たったとある時代の地球。  

火星文明のテクノロジーを利用している点では「機動戦艦ナデシコ」と似た設定ですね。
{netabare}共存関係ではなく対立もしくは主従関係らしき火星との関係性と、学校でのロボット操縦技術の授業があるという事は自衛のために学生でも訓練せざる負えない状況なんでしょうか?

火星側としてはアルドノアテクノロジーをこれ以上、地球に渡したくはない。だから協調路線を謳う姫君を利用し、火星内部の犯行を地球側へと擦り付けアルドノアを守るという大義名分を掲げた戦争を行おうとしている。{/netabare}

これから、戦局がどう動いていくのか?まぁ原案が虚淵さん、監督・あおきさんの「Fate/Zero」コンビなので破滅的なシナリオになりそう…


(2014.7/24 2話)
{netabare}想定内の上での行動は慣れているが、想定外の事には対応できない。パニックになるか・呆然とするか・逃げ出すか、特に圧倒的な力の前では呆けるしかない。
ただ、これはもう交戦・戦闘状態なんかではなく単なる蹂躙だよ…・゚・(ノД`;)・゚・

神は1週間で世界を創ったとよく言いますが、ヴァース帝国は1週間で世界(地球)を滅ぼす事も可能だろうな。

それにしても、地球側の主人公・界塚伊奈帆の奇妙なまでの落ち着きっぷりは何だ!?ホントに高校生か?

アルドノアを全身に纏った戦い方には制限時間があるようなので、まだアルドノアに対抗できる可能性があるかも…{/netabare}


(2014.7/31 3話)
{netabare}火星カタフラクトと交戦する事を決意した伊奈帆たち学生。前回の戦闘で何かしらのヒントを得たようですが、技術力・戦力が天と地の差ほどあるヴァースにどう対抗するのか!?

それと、気になるのがヴァース側に居るスレイン(もう1人の主人公?)が伊奈帆たちと出会う事で戦局が大きく変わるのでしょうか?まぁ、今の所なかなか出番がないですが…

いよいよ戦闘が始まったが、まさか伊奈帆の予測がほぼ100%当たるとは…いくら不意を突いたと言っても出来すぎているだろうに^^;

少年たちが戦場で出会った彼女は、今度こそ地球とヴァースの架け橋となれるのか!?{/netabare}


(2014.8/5 4話)
{netabare}スレイン、アセイラム姫の為ならとことん堕ちていきそうな危うさがありますね。それと正反対の伊奈帆は、坦々としながらも耽々としている。

そのアセイラム姫は、ヴァース皇帝に今の現状が伝われば戦争は回避できると信じている。が、いつしかヴァースと地球という対立構造がヴァースvs地球vsヴァース内反乱軍の三つ巴の展開になる可能性だって秘めているはず。

それに、本当にそれだけで戦争が回避できたとしても死んだ者は帰ってはこないし、また憎しみも消えるわけではない。
「アルドノアがあるから、こんな事は…」と言った感じでアルドノア・ゼロ、文字通りアルドノアの無い世界へと変えていく展開になるんでしょうかね?

その為には伊奈帆たち地球側の戦力だけでは不可能。だからスレインと協力してヴァース(火星)の最先端のアルドノアテクノロジーを地球にリークして共に戦う事で世界を変えるキッカケを創る?


それにしても追撃してきた軌道騎士の機体、前回が防御重視だったのに対して今回は攻撃重視とか極端すぎる気が…
何とか伊奈帆の作戦と周りの協力を得て難を逃れたが、今後もそう上手くいくとは限らない。

ついにスレインが伊奈帆と会いまみえる時が!?でも、地球人を撃つ事を躊躇っていたスレインがどこまで非情になれるのか?見物ですね。(トリルラン卿の時は容赦なかったですけど^^;){/netabare}


(2014.8/12 5話)
{netabare}てっきりスレインは地球生まれの火星育ちだと思ってたんですが地球から火星へと不時着した所を見るとそうではないようです。
しかし、スレインは地球人なのにまだ優遇されている方。アセイラム姫の厚意だけでここまで違うのか。

火星騎士が地球を侵略する事に対して火星側のトップであるレイレガリア皇帝は、快く思っていない?
ともあれ火星騎士は皇帝を敬いつつも、どこか見下している感じがする…
また、トリルラン卿の一件からも火星騎士は互いに利害が一致しているから共闘しているだけであって、決してそれ以上のモノは無くあわよくば火星騎士自らがヴァースを統治しようとしている?

武勲を挙げて取り立ててもらうのと、自身の名誉の為に邁進するのは場合によっては紙一重なような気がするけれどもな。
火星騎士、なまじ騎士としての誇りが高い故にそれ以下であれば他人よりも自身を優先して行動する…そんなんで火星を担う者とは到底思えない。


「犯した罪は魂にこびり付いて、いつまでも付き纏う」

それは、『空の境界 第1章 俯瞰風景』で用いられた言葉を借りるなら「我々は背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道で罪を背負うべきだからだ」という事を体現して生きてきた・生きることになったマリト自身に対しての皮肉の言葉なのかも。

「巻き込まないで。」と言ったライエはこれ以上、戦争に関わりたくないと言う気持ちの表れではなくライエの心情とは異なったアセイラムの意思に巻き込まれたくないという、ある種の強い意志の表れなのかな。

戦いを避けられないと知った上での伊奈帆の行動と、争いは避けられるはずと思ったスレインとの行動ではどちらが正しいのか?
まだ分からないですが、きっとどちらも正しい行いだと思います。

アセイラム姫の暗殺を企てた黒幕の正体が判明したのは良いですが、どう対処していくのか?
また、トロイヤード伯爵の子爵であるスレインですが親子揃ってヴァースに利用されて幕を閉じる形になっていく!?{/netabare}


(2014.8/16 6話)
{netabare}ヴァース側の突然の侵略が行われて日も浅い中、正式に宣戦布告を地球側へと提示した。

ん~、ここまで一方的に好き勝手やっていて地球側のなす術がない訳ですが、トリルラン卿の強襲してきた時のような絶望感薄れてきている気がします^^; 
また、ヴァースと地球の架け橋となれずに戦争のキッカケを作らされてしまったアセイラム姫が今後ヴァースに帰還することはあるんでしょうか?

あるとするなら、ヴァース帝国内部の権力争いが激化(現皇帝レイレガリア容認派・火星騎士派(クーデター)・協調路線派(アセイラム擁護)に分裂)した時になる?あくまで予想ですが…

スレイン(アルドノア開発に貢献したトロイヤード博士の子爵)とアセイラム(アルドノアドライブの力を引き出す鍵となる皇帝の孫娘)が、アルドノアテクノロジーに触れる事でアルドノアの解析が進むとヴァースにとって何か不利益があったりして。

種子島レポートの一件ように事実と異なる史実が真実になろうとしていた事を思うと、1話で説明されていたヴァース建国の流れも本当なのか怪しくなってきます。

ヴァース側のカタフラクト、ずんぐりした形が多いですが今回はその形に合った性能でした。まさかのロケットパンチって、マジンガーZもびっくりの耐久性&ヴァルヴレイヴ4号機っぽさ!

それにしても、伊奈帆が練習機から乗り換えるのはいつになるのか!?{/netabare}


(2014.8/27 7話)
{netabare}ついに、スレインがヴァースを脱走した訳ですがアセイラムを救うにあたり何か心当たりがあるようでもない。
このままだと、上手く見つけられたとしても地球側にとってはヴァースに地球人が居るなんて思いもしないから助けられるか分からないんじゃ…

それでも、かつての自分を救ってくれたせめてもの恩返しのつもりでアセイラム姫を救出したい!という強い思いは伊奈帆たちに届くのか!?

スレインが逃亡の際に用いたスカイキャリアーは、各火星騎士のカタフラクトを運ぶ運搬機にしか過ぎない。
今後、伊奈帆と共にヴァースと戦うのなら伊奈帆もそうだがスレインもそれ相応の戦力が必要になってくる。それをどう確保するかは次回以降に期待するとして…

―――妄想①―――
{netabare}徹底的に地球人を排除しようとする火星騎士たちのやり方は、なまじアルドノアテクノロジーを発見・活用したせいなのかも。
かつてのレイレガリアが火星でアルドノアを発見した事で、「このまま地球にアルドノアを持ち帰っても別の誰かに利用されるだけ」と思い、そうなるぐらいならいっそ、自らの手で火星という新天地に国を造った方が得だと考えた。
だったら、ヴァース軍人(元・地球人)に地球人は敵対すべき存在なのだと教え込んでいても不思議ではない。{/netabare}
―――――――――

また少年たちが大切な者を失い・守ろうと戦い赴く中、一人かつてのトラウマ・残響に未だ囚われ続けている者はこのまま終わってしまうのだろうか。

「種子島」というワードは鞠戸だけでなくヴァースにも関係しているようだが…まさか15年前の出来事は、ヴァースが初めて地球に侵略したが不慮の事故(ヘブンズ・フォール)に遭った(本来なら、そこで地球侵略は完了していた?)。15年たった今あらたに地球を侵略(アセイラムを利用して口実を作った事で)しようとしてるのが公になるのを恐れているのか?

―――妄想②―――
{netabare}レイレガリアが地球との休戦を自らの意思で行った所を見ると、彼はまだ地球に未練がありあわよくば地球へ帰還したいと思っている?
15年前の火星カタフラクトはレイレガリア自身が操縦していて自分だけでも地球に帰還したいと思うがあまり単機(スカイキャリアー付)で降り立った所にヘブンズ・フォールが起き、何とか一命を取り留め火星へと帰還するも思うように意思は伝えられず、現状の傀儡政権が誕生した?{/netabare}
―――――――――

スレインの事をコウモリと呼んだ伊奈帆の真意は?

強者がいない所で弱者が幅を利かせるという意味に対しての隠喩!?
(スレイン自身、アセイラムの厚意が無ければ弱者だった。アセイラムが居なければ何もできない奴と思っているのでは?)(もしくはスレインを、ヴァースの下っ端だと思ってるとか…アセイラムがスカイキャリアーの役割を解説していたシーンがあり、それを戦闘を指揮していた伊奈帆が聞いていた可能性も。)

それと今回で最初で最後?となるのか、伊奈帆とスレインの共闘。


窮地に立たされたとはいえ、本来の姿を曝してしまったアセイラム姫は大丈夫なのか!?{/netabare}


(2014.9/3 8話)
{netabare}アルドノアを持つ戦艦デュカリオンをアセイラム姫が起動させたのは、神話に基づくデュカリオンがアセイラムそのもので地球側にとっては、まさに神の火なのだろう。
しかし、プロメテウスの子はデュカリオンなのだがレイレガリア皇帝にとってアセイラムは孫にあたる存在になる。という事はデュカリオンの艦長はアセイラムの父親だった?

スレインがいきなり拷問を受けている唐突なカットはインパクトを与える為なのか?その過程が描かれていないので分かりづらいですが、そこは視聴者にイマジネーションを膨らませるための演出だと思うと悪くない感じです。

スレインがアセイラムを利用される事を恐れた時に、伊奈帆が映ったのは後々、スレインがザーツバルム卿の洗脳を受け、アセイラムの理念(地球とヴァースの共存)を達成する為と言いくるまれ、アセイラムと伊奈帆に敵対する展開に!?

ザーツバルム卿のカタフラクト、GガンダムのマスターガンダムもしくはガンダムUCのバンシィに似てるwww 音楽を澤野さんが担当しているから何かしら関係あるんでしょうか?(UCの方)


鳥、それは人にとって時には希望を抱かせる存在であり(ライト兄弟しかり)、時に恐怖を思わせる存在(はるか昔の人々は鳥を未知の生物だと認識していた)。{/netabare}


(2014,9/7 9話)
{netabare}ついに、アセイラム姫の暗殺を企てたザーツバルム卿とスレインが対峙。 

今更ですが、OP映像の最後の所でアセイラム姫は誰に銃を向けているのでしょうかね?涙を流しているからには、伊奈帆かスレイン?

ライエはアセイラムに嫉妬しているのだろう。自身が火星から来た事を簡単に打ち明けてしまったり、またアセイラムの身分が皇族であるのに自分はそうではない。
さらにはライエが好きでもない地球に降り、ヴァースの為・自分が火星でより良い生活を送るために尽くしてきたのに同じ火星人に最愛の父を殺された心情としては、嫉妬どころではない憎悪すら芽生えても仕方がない。

「どうして私は、あなたように生きられないの…」と言ったのでしょうか?それができないなら、その原因を絶ってしまえ!と言わんばかりの表情。けれども、投げやりな感じは否めないです。


ところ変わって、ザーツバルム卿の妻が15年前の種子島に降下していたという事・戦艦デュカリオンの名を聞いた時のザーツバルム卿の表情から察するに、あのアルドノアのパイロットはザーツバルム卿の妻であるオルレインだった!?


アセイラムは本当に二度目の死を迎えたのか?そうだとしたら利用しようとしていた伊奈帆はどう動く!?
(まぁ、もともとライエは火星の人間な訳だからライエ自身にその事をはかせてヴァースとの取引材料にする?)
また、アセイラムに忠誠を誓っているスレインがとことん堕ちていく展開に!?{/netabare}


(2014.9/17 10話)
{netabare}前にも書いたと思いますが、伊奈帆は本当に高校生なのか!?人の死が間近に迫っている状況で慌てる様子やたじろぐ事もなく当然のようにやって退けてしまう精神力・場数の踏みの多さ?は、異常なように映って観える。
「学生は(人口呼吸を)真面目にやりません、冷やかすだけです。」と言ったマグヴァレッジ艦長の言葉に「命が係ってます。」と答えた伊奈帆にとって、死は他人より身近にあったもの?

伊奈帆の両親はヴァースへと何らかの理由で赴こうとして、ヘブンズ・フォールに巻き込まれ死亡した?

だから、伊奈帆は平然としてアセイラムの命を救う決断ができ、冷やかすどころか大真面目に事を行った。
(もしくは耶賀頼医師と血縁関係にある?まぁ、ただ単に容姿が似ているだけという理由なんですけど^^;)

ライエが銃口を向けている間、アセイラムはライエからは見えない位置に居るのにそれでもしゃべり続けていたシーンがありましたが、まるで伊奈帆に感情をぶつけているみたいになっていたのでもしかしたら伊奈帆は火星人だったりして…


何はともあれ、ようやく本部にたどり着いたデュカリオン。だけど、アセイラム姫がまた利用される感じになるのではないかと思うのは気のせいかな?


アセイラムの演説の際、ザーツバルム伯爵が憎しみに満ちた表情ではなく哀愁・憐みを思わせる表情だったのは意味深ですね。
スレイン、公式の画像を見る限りではニロケラスに搭乗するのかと思いましたが亡きクルーテオ卿のタルシスに乗る事に!?

タルシスの由来がカタルシスとするならば、スレインのアセイラムへの忠義が知らず知らずの内に苦となっていて、それを浄化する事で何らかの変化が訪れる?{/netabare}


(2014.9/24 11話)
{netabare}アセイラム姫の言葉に対して「戦争ですから…」と答えた伊奈帆の気持ちは、きっとアセイラム姫への好意を悟られない為なのだろう。
またアセイラムの本当の想いがヴァースへと届くことは無かった。ヴァース側に姫が正式に生きている事を知らせば、戦争を終わらせられるかもしれない…という地球の最後の希望を打ち砕く事で、地球の人々をさらなる絶望へ堕とす。そうなれば、今度こそ協調路線を謳うアセイラムの信頼は失われヴァースへの敵対心は積もる一方になる。
そうなる事を知った上でザーツバルム卿は、あくまで個人的な復讐の為に自国であるヴァースをも利用している?

だとしたらアセイラム姫は、死んでいても(地球側の暗殺という理由で)戦争の火種にされ、生きいても(地球の人々の想いを弄んだという事で)戦争激化へのキッカケをつくる事になっていくのなら死ぬよりも辛い想いだろうな…
彼女は戦争の為に生かされ戦争に殺される運命なのか!? 

そんなアセイラムには、まだ希望が残っていると思うんですけど…スレインや伊奈帆とかね。
でも、「もう軌道騎士の愚行を止める者はいないのですか。」って事はやっぱりアセイラムを救うのはスレインか?

前回、アルドノアドライブが停止したタルシスが出てきましたが、もしかしてアセイラムがアルドノアドライブを起動させ、その因子をスレインに与える事でアセイラムを守る騎士になったりして。

そのスレインの想いとアセイラムの想いはハッキリしてますが、伊奈帆の想い・信念だけがあまり描かれないのは何か意図があるんでしょうか!?{/netabare}


(2014.9/26 12話)
{netabare}満身創痍の中、ザーツバルム卿の揚陸城へと進攻する伊奈帆たち。戦火にありながらも相変わらず淡々としている伊奈帆は今まで幾度も戦争を体験してきたかのようなに話しているので伊奈帆は火星人ではなく未来から来た地球人?(ヘブンズ・フォールの際に、時空の歪みが起こりそれに乗ってやってきたとかwww)

所変われば品変わる。じゃないですが、いやぁ久しぶりに観ました!合体バンク!!やっぱり良いですね。もうホント、スーパーロボットアニメかと思いましたwww

スレイン、地球人でありながらヴァースで生活してきたがライエは火星人でありながら地球連合と共に行動している訳ですが、ライエは一度堕ちかけたが何とか踏みとどまった。という事はスレインは踏みとどまらずにアセイラムの為に堕ちつづける!?

そして堕ちた結果、軌道騎士が最上位の権力形態を造り(←間違い。5話でレイレガリア皇帝が休戦協定を出したのにも関わらずブラド卿が伊奈帆達と再戦していたので、皇帝が最上位の国家体制ではなさそう。)

アセイラム姫の理念である和平を、伊奈帆の言った「利益に見合わない数の人が死ねば戦争は終わる。」という言葉で実現しスレイン・トロイヤード皇帝となりヴァースを存続させながらもアセイラムの愛した地球を自らの手で統治して終わるとか?

ん?起動権を持たないスレインが何故アルドノアドライブ搭載型カタフラクト(火星カタフラクト)を起動できたのか?アルドノアの発見者であるレイレガリア皇帝の親族以外に起動権を与える事が出来る人物、それこそが火星カタフラクト開発に携わったトロイヤード博士。
と考えるとつじつまが合います。
(追記:1/24)
スレインがタルシスを起動できた事についてですが、5話で火星に降り立ったスレインを助ける為にアセイラムが人工呼吸みたいな事をしてますね。{/netabare}

いやはや、衝撃的な結末で幕が閉じられましたけどホントこれからどうなるんだろう!?
2015年1月まで待ちきれないですね!!

最後に1期のOP映像(アセイラムが涙を流しながら銃口を誰かに向けるシーン)は、第2クールでの結末を表しているのか?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 42
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青い空と戦場の少年たち

TROYCA×A-1Pictures制作。
リアル志向のロボットアニメ。
分割2クールの全24話、まとめてこちらに。

アポロ計画により月面で発掘された、
古代火星文明の遺産「パイパーゲート」が、
人類に火星への移住と開拓の道を開く。
しかし火星の古代技術「アルドノア」を巡り、
対立/抗争に発展した。

舞台は2014年、日本/新芦原市。
火星の皇女アセイラム姫が和平の親善大使として、
地球に降り立つ所から始まる。
惑星間の緊張緩和と水面下で暗躍する者たちの、
それぞれの思惑が動き出した。

圧倒的な兵力を有するヴァース帝国の火星騎士に、
地球連合軍は量産機で戦略を駆使して戦う。
主人公伊奈帆がアイデアと冷静な対応で、
苦難をくぐりぬける様は気持ちが良いですね。
{netabare}リアル志向なだけに水蒸気爆発や分子運動解析、
ライデンフロスト現象など戦術は様々でした。{/netabare}
市街地での戦闘は風景も含め作画は圧巻です。
戦闘で流れるBGM「BREATHLESS」が素晴らしい。

終盤2期目は、
{netabare}新しい世界を創生するというスローガンで、
好敵手スレインの政治パートが続き、
やや単調に物語が進行するのが難点ですが、
火星の成熟していない政治レベルも確認でき、
必要不可欠な演出だったのではないでしょうか。{/netabare}
ラストには賛否があるのもわかります。

人類の歴史は闘争の歴史、人々の想いを胸に、
少年たちは明日へ架ける橋となれるのだろうか。

高い完成度を誇るSF作品だと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 84

ゆりなさま さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

OP最後に姫様が泣きながら銃を向ける相手とは・・・?

とにかくバトル三昧でしたね!!
1日で観終わらしたのですが疲れたっw

でもバトルシーンすごかったです。
地球人VS火星人
徐々に強くなる敵が現れ毎回戦ってました。

個人的に火星騎士のもとに身を寄せている火星に暮らす地球人の
スレイン好きになったので(もはや大好き♡)
中盤あたりのクルーテオからも尋問攻撃が観てて辛かった。
もうやめてよー;;って思いました。

姫さまをあんなに大切にしていたスレインが
生きてるとわかり姫さまのもとに行こうとするが
なかなか姫さまに再び出会えいのが逆に意外でした。
もっと早く会ってよかった♡なんていう2人を観たかったんですが・・
でもでも・・伊奈帆も好きですので、そこらへんはまぁ・・(゚∀゚)

あの最終回に入ってやっとと思ったら
なんでしょう?バッドエンド^^;??
せっかくスレイン来たのに・・。
伊奈帆と姫さま死んでないよね?生きてるよね?
でも撃たれたよ。
死んでたらショックだな。
ただスレインが流した涙が綺麗だと思ったのは私だけでしょうか。


OPの絵でスレインのボタン?とめる時の首筋のシーンにドキッとしてしまう私・・
疲れてんのかなぁ・・っw
あと、OP最後、姫様が泣きながら銃を向ける相手は
伊奈帆なのかスレインなのか・・または・・。
2期で分かるかな〜。

読んでくださりありがとうございました!
スレインに感情移入してしまってましたがもちろん伊奈帆も好きです。
楽しめましたヽ(*´∪`*)ノ"

投稿 : 2024/12/21
♥ : 82

85.8 2 テクノロジーで戦争なアニメランキング2位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (780)
2579人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1クールドラマ作品に必要なのは取捨選択と凝縮。「火の鳥」精神が足りない。

 勿体ない作品というのが時たまあるが、本作も正にそれ。1,2話の段階では「これは…、凄い地平が開けた作品だなぁ〜」とワクワクしたがそこが最高潮で、だんだん回を追うごとにその展望は狭くなり、最後はなんか…ありがちなハリウッドSFアクション作品的なノリに…。


 ここまでやってターミネーター!?、ターミネーターなのか!?。結局1クールという短い時間でまとめつつ、強烈さを獲得するのに失敗してる諸作品の一つになっちゃったな…。


 短い時間だからこそ、取捨選択を通して強烈さを凝縮によって得なくてはならない。1クールアニメの典型例なら「まどマギ」、漫画ならそれこそ「火の鳥」や「デビルマン」など。「火の鳥」の各エピソードは単行本2、3冊くらいだが遥かに劇的な構成になっているし、デビルマンなんてたった5巻で伝説になった。エンタメものとしてまぁまぁくらいじゃなぁ…。気軽に見てたら思ってたより良い着地の作品だった…くらいのがまだ良かった。


 そういえば、「火の鳥」といえば「不滅のあなたへ」も残念ながらそれらが出来てないから「水っぽいプリン」状態になってしまった感じがある。大今さんは大きな話のタイプじゃない気がする。細田監督もだが、自分の資質を見失っちゃってるような…。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 59

overnao さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

4話完結なら覇権取れてた

放送開始当時はかなり期待していました。最終話まで見た感想としては、脚本をもうちょっと頑張ってほしかったという印象です。

ざっくりとターミネーター的なプロットの作品です。遊園地で働くAI搭載美少女ロボットが100年後のAIによる人類の虐殺を阻止するというのがあらすじです。誤解を恐れずに言えば、ヴァイオレット・エヴァーガーデンやplanetarianに近い雰囲気の作品です。

この手の作画と演出と音楽がイケてるSFアニメオリジナル作品って、ストーリーが絶妙につまらないというのが定番なんですが、5話まで見た限りではかなり洗練されたストーリー展開でした。
世界観が壮大なサイバーSFでありながら、話が難しくなく、テンポよくストーリが―進み、登場人物のAIが結構情緒的で人間臭さがあって視聴者が共感できるので、作品全体のバランスが良いです。全体的にどこかで見たことがあるようなストーリーなんですが、そこがむしろ良いポイントです。既存のSF作品の王道展開をいい感じにアレンジしてアニメというフォーマットに落とし込んでいるのです。ターミネーターっぽいストーリーラインにアルマゲドンっぽい英雄的犠牲展開、宇宙船が大気圏で燃え尽きてゆくシーンはガンダムっぽかったり、歌がテーマの近未来SFっぽさはマクロスかギルティクラウンを連想させますが、決してパクリという雰囲気もせず、各要素をうまいこと取り込んで新しい作品に仕上げてしまっているのがすごいです。

作画・キャラデザに関しても若干触れておくと、アンドロイドをアンドロイドっぽく描いているのが評価できます。目の瞳がカメラのレンズのように描かれていたり、髪の質感が金属っぽかったりして、人間とアンドロイドのディティールが描き分けられています。アンドロイドの顔の作りもいわゆる萌系の美少女というよりは、無機質な美人といった雰囲気で、実際にどこかの企業がアンドロイドを設計したら、コンプラ・マーケティング的にこんな顔に設計するだろうなあと思えます。

本作の音楽プロデュースはハルヒや物語シリーズでおなじみの神前暁氏が担当しており、音楽演出面も特筆すべきポイントです。主人公Vivyが歌うオープニング曲(声優と歌手が別人のマクロススタイル)や、3話、4話で流れる宇宙をテーマとした神秘的かつ哀愁漂う楽曲は相当印象に残ります。

このままコケずに最終話まで完走すれば歴史に残る作品になると思います。かなり期待してます(ここまで、5話時点の感想

追記: あにこれの今期アニメ総合ランキング1位(映画含まず)になってますね。よかったよかった。古参ぶれそうです笑

追記2: 6話で結構雰囲気が変わりました。ヨクワカラン謎の安っぽい戦闘シーンが挿入と主題歌ゴリ押し演出によって世界観が陳腐化してしまった印象です。とはいえ提示されているテーマは依然として硬派なポストヒューマンSFという感じで、物語の本筋まではブレていないようですが、、、今後に期待...

追記3: 最終話まで視聴した感想です。1話〜4話のストーリー展開が洗練されていて良かったですね。4話で完結だったら覇権取れてた。5話以降も悪くはないですが、色々粗が目立ってきました。無理矢理気味のストーリー展開、安っぽい戦闘描写・演出、時代設定がよくわかんないSF描写(ヒューマノイドが実用レベルに達している未来で、人間が荷物運びのような雑用をしてたり、50年経っても町並みやテーマパークの技術水準に変化が見られなかったり)etc...という感じです。当初は歴史に残るアニメになるんじゃないかと思いましたが、今の評価としては「好き嫌いが分かれる隠れた名作」くらいのポジションでしょうか。4話までが良すぎたのでハードルが上がってしまったのかもしれません...。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

100年の旅 それは自分自身を滅ぼす旅

人類の滅亡という未来を防ぐため、懸命に生き続けたVivyの成長を描いた物語です。
それでいて物語の随所には優しさや温かさが垣間見れます。

不思議ですよね。Vivyは人間でなくAI、アンドロイドなのに、成長や優しさなんて…
でも、これ以上にふさわしい言葉が見つかりませんでした。
Vivyが生き続けた100年の軌跡を、Vivyが成し遂げた100年の奇跡を、あなたも目撃してください。


歌でみんなを幸せにする。その目的でつくられたアンドロイドのDiva。
だが彼女にはもう一つの使命と名前があります。
100年後、AIによって人類が滅ぼされてしまう。その未来を阻止する使命。そしてその使命を遂行する際の彼女の名前がVivy。

Vivyは100年後から来たAIのマツモトと一緒に100年という時間の流れを旅します。

■物語:{netabare}
第1、2話 {netabare}
 Vivyは正史では殺害されるはずだった相川(あいかわ)議員を助けます。
 ここでVivyは、いつまで生きるかじゃなくどう生き続けるかが大切であることを相川議員に
 行動で示します。
 さらにVivyは、相川議員を殺害しようとした垣崎の命をも身を挺して守ります。
 Vivyは命の尊さを誰よりも理解しているAIでした。{/netabare}

第3、4話 {netabare}
 正史では宇宙ホテル「サンライズ」が墜落して多数の人が亡くなりますが、
 Vivyや妹のエステラたちの尽力で死者はゼロとなります。
 ここでVivyは「心をこめる」とはどんなことかをエステラから教わります。
 エステラは誰よりもお客様を大切にするAIでした。{/netabare}

 ※第2話から第3話までの間には15年の年月が経過しています。
  第1話のときのVivyの友達の妹(霧島ユズカ)は赤ん坊でしたが、
  15歳に成長していました。

第5、6話 {netabare}
 サンライズの墜落後、AIの進歩が著しく加速します。
 海上無人プラント「メタルフロート」で大量のAI部品が製造されていたのです。
 そしてメタルフロートの管理AIは、Vivyの妹のグレイスでした。
 グレイスは元は看護用AIで、弱者をいたわる優しい心をもっていましたが、
 Vivy達がメタルフロートの活動を抑えようとしたのがきっかけで
 暴走して人を殺します。
 グレイスを救う方法が無いことを知ったVivyは、人類の未来のためにグレイスを破壊します。
 しかし、グレイスを愛していた冴木の自殺でVivyは混乱してしまい機能停止するのです。
 Vivyは愛するものを失ったときの人間の悲しみを、そこまで理解できていなかったようです。{/netabare}

 ※第4話から第5話までの間は5年経過しています。
  正史ではエステラは犯罪者としてさげすまれていましたが、
  改変後の歴史では誰もがエステラの行動を褒めたたえるように変わりました。

やがてVivyは気づくでしょう。この旅は自分自身を滅ぼす旅であることを…
それがどんな形で現れるのかは、今はわかりません。

ただ、偶然の一致かどうかはわかりませんが、Vivyが各話で出会う主要なAIは全てVivyの妹達、Vivyと同じ基本ユニットのアンドロイドです。
ということは、人類を滅ぼすAIも… かもしれません。

第7,8、9話 {netabare}
 第6話でVivyが機能停止後に再起動してからは、DivaにはVivyの記憶がありません。
 しかしフェスティバルの直前にDivaは事件に巻き込まれます。そのときDivaを助けたのがマツモト。
 オフィーリアの自殺を防ぐことが今回のマツモトの目的でした。
 オフィーリアはVivyの妹です。彼女もDivaと同様に歌で皆を幸せにすることが使命でした。
 Divaは記憶を取り戻すためにマツモトと一緒に行動します。
 結果としてオフィーリアの自殺は防げましたが、代わりにDivaの人格が消去されました。{/netabare}

 ※第6話から第7話までの間は40年経過しています。
  Vivyはいつの間にか61歳になっていました。
  心をこめて歌うこと。それはお客様に笑顔になってほしいと願いながら
  歌うこと。そしてそれは、エステラがVivyに教えてくれたことです。
  だけどVivyにはその記憶がありませんでした。

第10話 {netabare}
 Vivyは歌えなくなり、引退してAI博物館で展示されます。
 そこで小学生の頃の松本博士と出会うのです。
 Vivyは自分がつくる歌ならば歌えるかもと考え、作曲するのですが…
 なかなか曲は出来上がりません。

 それから更に長い長い年月が過ぎて行き、少年だった松本はやがて大人になり、
 女性と結婚して赤ちゃんができます。
 松本博士の子供を抱き抱え、赤ちゃんがVivyの指を触ったそのとき、
 あふれんばかりにVivyの頭脳に曲が芽生えます。
 その曲は私たちが良く知っているあの曲でした。
 美しく、そして…はかない曲でした。
 曲を作り終えたVivyは疲れ果て、深い眠りにつきます。

 そしてVivyが目覚めたとき…、
 なんとVivyの作った曲を口ずさみながらAI達が人間を殺戮していたのです。
 それはVivyが旅した100年後の世界でした。{/netabare}

 ※第9話から第10話までの間は5年経過しています。
  そして第10話では更に35年が経過します。
  Vivyにとって唯一の静かな…とても静かな時間でした。

第11話 {netabare}
 AIの暴走はアーカイブによるものと判明しました。
 Vivyとマツモトの100年の旅は無意味だったのでしょうか?…
 いや、無意味ではありません。正史では松本博士は亡くなりますが、
 Vivyとマツモトが助け出しました。
 そしてここではトアクが仲間になっており、エリザベスもいます。希望はあります。
 でも、あと12時間後に衛星が落下する…。そうなれば都市は全滅です。
 Vivyは一縷の望みをかけてアーカイブとの対話を試みます。{/netabare}

 ※やはりVivyを起源に自立型AIは進化を遂げていました。
  AIの暴走を抑えるもっとも単純な方法は、根元を断つことかもしれません。
  そしてそれは…

第12話 {netabare}
 アーカイブの導き出した答は、『AIに依存しきった人類には価値が見いだせない。
 だから人類を滅ぼしAIが人類になり替わる』とのことでした。
 但し、AIの中で唯一Vivyだけが自分で曲を創作したことに驚きを感じ、
 もしVivyが歌えるのならば人類抹殺を中止するとのことでした。
 Vivyはトアクやエリザベスと一緒にアーカイブの本拠地アラヤシキに乗り込みます。
 しかし、向こうが一枚上手でした。Vivy以外は皆亡くなります。しかもVivyは歌えません。
 衛星が落下し、希望は亡くなったかに見えましたが、松本博士がVivyをもう一度過去へ送ります。
 Vivyが送られた先はAI達が人間の殺戮を開始したまさにそのときでした。 {/netabare}

第13話 {netabare}
 Vivyは直ちにトアクの救出に向かいます。
 そしてトアクやマツモト、エリザベス達がアラヤシキに乗り込みます。
 Vivyは生まれて初めて歌った場所「ニーアランド」で自分の作った曲を歌います。
 Vivyの歌には全てのAIの活動を停止させるウィルスが組み込まれていました。
 もちろんVivyもAIです。この歌はVivy自身をも滅ぼす歌だったのです。 {/netabare}
最期の最後で、歌姫として生まれ変わったVivyがもう一度マツモトと出会えたことは、良い終わり方でした。
{/netabare}
9話目までが非常に素晴らしすぎる内容だったため、10話目以降は失速感が感じられました。それでも良い物語だったと思います。
 
■音楽:
第4話でエステラと妹のエリザベスが歌った「Ensemble for Polaris」は、とても美しい歌でした。
お客様を安心させたいと願う二人の心がこもっています。
それとは対照的に、第6話でグレイスが歌った「Sing My Pleasure」は、とても悲しく聞こえる歌。グレイスは、メタルフロートで冴木のことを想って毎日この歌を歌い続けていたのです。グレイスの心の悲しみが伝わってきます。
そして第7話でオフィーリアが歌った「Elegy Dedicated With Love」は愛らしい歌です。
「小劇場の妖精」としての可愛い歌でしたが、心はあまり伝わってきませんでした。

オープニングはVivyが歌う「Sing My Pleasure」とても魅力的な歌です。

エンディングテーマは、とても美しい。そしてはかなく寂しい曲でした。
まるでこのアニメの最後を語っているかのようです。
この曲を初めて聞いたとき、私はある疑問が生じました。
 なぜ歌姫が主人公の物語なのに歌詞がないのだろう?
その答は…、第10話に隠されていました。
最終話でVivyがこの歌を歌いますが、最後まできちんと歌わせてほしかったです。

そして、何よりも私が好きなのが挿入曲。特にシンギュラリティ計画を遂行する際のバトル時に流れる胸をえぐるような音楽、この曲にすっかりとりこになってしまいました。

■問い:←ここテストに出ます。(冗談)
ところで、第4話の最後でエステラたちが歌った「Ensemble for Polaris」を聴いたVivyが思わず「くやしいなぁ」とつぶやきましたが、それはなぜだと思いますか?{netabare}
私は…きっとVivyも一緒に歌いたかったのだと思います。
でも、それはできないこと…。エステラとエリザベスは、自分達の使命を全うしたのです。{/netabare}

また、第6話にて、メタルフロートでグレイスが歌っている「Sing My Pleasure」をVivyは何故「これは歌じゃない」と言ったのでしょうか?{netabare}
この答は私にはわかりません。
Vivyならば、「これは歌…悲しみの歌」と言うような気がしましたが…、この答がわかる人は教えていただけないでしょうか?{/netabare}

そして、第7話にて、記憶を失くして仕事を一緒に行うことも無くなったVivyを、なぜマツモトは助けたのでしょうか?{netabare}
おそらく、それはマツモトの心がそうさせたのだと思います。
マツモトは心がどんなものかを説明できませんでしたが、AIのマツモトにも優しい心があったのだと私は思いたい。{/netabare}

答は見る人によって異なるでしょう。でも、その違いを述べ合うのも楽しいかもしれません。(^_^)


■最終話を見終えて
総集編をつくるのであれば、後半はもっと丁寧に作成してほしかった。
そうすれば間違いなくトップをとれたのに…と、悔やまれます。
第四話までなら間違いなく最高でした。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 67

65.6 3 テクノロジーで戦争なアニメランキング3位
ガーリー・エアフォース(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (208)
807人が棚に入れました
突如出現した謎の飛翔体、ザイ。それは、人類の航空戦力を圧倒した。彼らに対抗すべく開発されたのが、既存の機体に改造を施した「ドーター」と呼ばれる兵器。操るのは、「アニマ」という操縦機構。それは——少女の姿をしていた。鳴谷慧が出会ったのは真紅に輝く戦闘機、そしてそれを駆るアニマ・グリペンだった。人類の切り札の少女と、空に焦がれる少年の物語が始まる。

声優・キャラクター
逢坂良太、森嶋優花、大和田仁美、井澤詩織、白石涼子、Lynn

Dave さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

中途半端でちっとも面白くない

完走はしましたが、やっぱり最後まで面白くなかったですね。何をテーマにしているかわからないし、未回収の伏線・謎も多く(さりとて別に興味もわかなかったけど)、何もかもが中途半端。いろいろ欠けているものは多いのですが、致命的だったのは「アツさ」が全くないこと。日常系ではなく、まがりなりにも戦闘を描くわけですから、胸が熱くなるシーンがないと、じゃあ何のために命張ってるの?という冷ややかな気持ちになります。

1. 不必要・不十分なキャラ
そもそも、その登場人物必要だった?という登場人物が多い印象です。中国人の幼馴染とか、ギャグなの?って感じのウィークリーすっぽかされキャラだし、F-2も無理矢理登場させる必要はなかった。F-4の嫌な奴キャラが払しょくされたとはいいがたいし、F-15はパッパラパーのまま。F-18もなんだか未消化のまま散ってしまうし、ずいぶんと扱いが雑だなあという印象です。

2. 結局、なんやねん
謎の敵が謎のまま終わる…かつて幼稚園の頃に見た戦隊モノの敵のようですね。その出自も、正体も、目的も、能力もよくわからないけど、とにかく「敵」なんだ、と。ここらへんはせめてもう少し明らかになっていくのかと思っていたら、まさかの最後までほったらかし。

3. 残念ドッグファイト
同時期にやっていた【荒野のコトブキ飛行隊】、こちらも似たような感じで雑なストーリー×ドッグファイトでしたが、あちらはせめて実機への愛着とか、空中戦を描くこだわりとかがありましたが、本作は子供向けのどきゅーん!ちゅばーん!な感じの繰り返しで、リアリティもないし、わざわざ変な塗装と「それっぽい」だけのデザイン改変をしてるので、手抜きな感じ。別に空中戦を見せたかったわけじゃないのかな…じゃあ、見所はゼロじゃん。

4. やはり中国推しが気持ち悪い
もともと中国に住んでいて、中国人のガールフレンド(モブ)がいて、上海奪還とか言っちゃって、一体どうして中国をそんなに推すのか…。ここまでリアリティ放棄したんだからもう架空の国でも何でもよかったはずだし、やはり嘘でも自衛隊機を扱う以上、その相性の悪さはまるで牛乳と納豆のように喉元にまとわりつきました。

5. 作画は最後まで耐えきった
作画(キャラ)だけは、際立って良いとは言えないものの、最後までギリギリの線で踏ん張った感があります。結構危うい感じだったけど、そこは沢山のスタッフさんの努力で崩壊を免れた。もしそこを投げてしまっていたら、正真正銘のクソアニメになっていたところ、耐え抜いたプロ根性には敬意を表します。

---以下は5話時点での中間感想---

なぜグリペン…なぜ中国…
まだ5話までしか見てないので、メモ程度に。
●なぜグリペン…いや、好きだけど…好きっていえばビゲンが…じゃなくて、どうして航空自衛隊でいきなりグリペンなのさ!?(そういえばF-Xの出来レースで当て馬にはされてたっけ)さすがにF2なりF35なりにすべきだろ。
●百歩譲ってドラケンにするなら、せめて中身もスウェーデン人美女にしてくれ。
●実機の特性を活かした擬人化かと思えばそうでもない…では必然性がない。
●人物画は今のところギリギリ大丈夫だけど、常に崩壊しそうな危うさを感じる作画。このまま頑張ってくれ!
●ドッグファイトや航空機の機動に関しては全くリアルじゃない。「これは特殊なアニマという機体だから」という言い訳をしたいんだろうが、苦しい言い訳だ。特に番組にACE COMBAT 7のCMなんか挟まれた日には、本編のショボさが引き立つ。
●特にこういう軍事(自衛隊)モノで中国(人)という名前すら聞きたくない。反吐が出る。仮想的国だぜ?そこは最低限のマナーじゃない?必要性や必然性も今のところ認められず、中国の金が入ってるの?非常に違和感があって邪推したくもなる。
●せっかく実在の戦闘機だすのに、どうしてこんな手抜き塗装なんだ…戦闘機としての良さが台無しじゃないか。幼児向けの玩具かよ…。
●DTホイホイのキモイ展開、どうか勘弁してほしい。裸とかキスとか、鳥肌が立つ。
●まったく自衛隊感がない。だったらいっそ、全て架空の設定にすればいいのに。
●空自といえばやはり「まそたん」。陸自ならGATE。ああいうガチ自衛隊モノが欲しい。

※現時点では評価はせずにおきますが、低評価を付けたくてうずうずするw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

されど気になる軍事合理性

原作未読


エアフォースカテゴリー。未知なる異能の敵(ザイ)への対抗手段として開発されたのが美少女でしたよ、っと。
どれくらい異能か。対抗馬の美少女については本編かどこかのあらすじをご参照ください。

空戦ものと触れ込みの本作。それとは別に次のお楽しみが待ってます。

 1.快活幼馴染み娘との日常を愛でる
 2.ポンコツ萌え娘を愛でる

少し影のあるグリペンちゃんが正妻枠だと思うのですが、二兎を追って空中分解した印象です。グリペン(CV森嶋優花)でもミンホア(CV Lynn)でもそれ以外の子でも引っ掛かりがあればキャラ萌えで押し切れるかも。なお、私は墜落です。
フォローするとしたら、けっこう雑な作りがむしろ安心材料となり気楽に鑑賞できることくらい。
このヒロインもそうですが主人公の鳴谷慧(CV逢坂良太)も幼馴染みのミンホアちゃんもけっこう重たいものを抱えてます。そしてその重たい設定を全く活かせない展開が続きますので、物語なし!萌えなし!されどキャラ特化型の作品として楽しめるかどうか。
この二人の女の子たち以外の子も順次投入されていきますのでその色は強まっていきます。繰り返しますが、“安心で雑な作り”です。気楽に観れちゃうのです。


■いっそファンタジーオンリーならよかったのに
現実との中途半端なリンクのさせ方をします。

{netabare}・中国は内戦中なのか“東シナ海上海脱出船団”のテロップから始まるアバン
・自衛隊小松基地、第七艦隊など実在する名称が登場
・大陸からの敵に対して「台湾と半島が健在だから」と地政学的な言及あり
・グリペン、イーグル、ファントムⅡ、そしてF-Ⅱと実在機は言わずもがな{/netabare}

中途半端と評したのはそこで描かれたあれやこれやが荒唐無稽なので。

{netabare}・そもそも敵国または政情不安定な国に長期間滞在、かつ同伴者ありで入国した人間を国籍を有しているからといって入隊(厳密にはゲストだが・・・)させる軍隊はありません。
・グリペンの所望でほいほい基地に入れるはいいとして(良くないが・・・)、内通の可能性を否定できないミンホアには監視付けるでしょ?
・グリペンってジャミング(妨害電波)に優位性のある機体だと思ってたが逆にやられてない?まあグリペン側は見破ってたので気にしなくてもいいか。
・人間せいぜい8Gが限界でF-Ⅱでもそれくらいでる。アニマの変態的機動なんて即死レベルでしょ、普通。
・ただし一点、アメリカ軍のお粗末さ。「馬鹿でヘタレでやるときはやる」の前二つ部分について的を得た描写になってるのは良い。{/netabare}

他にも突っ込みどころに事欠きませんが割愛します。それなりに説得力のある描写でした、とはいきませんでした。
本題としたいのはそこに見え隠れするラノベ原作のメリットデメリット。


 作者は取材を一切してないでしょ?


俺が脳内で考えた素敵なプロット・・・止まりなんですよね。あくまで自分がラノベを読まない人なので事実誤認あったらごめんなさい。
時に天才的な作家が現れ傑作を残すこともあるでしょう。その人の経験値が作品に反映されるのなら、読書を通じて咀嚼した疑似体験を筆に込めることだって多いはずなのは理解してます。
ただし、新作を練る時には作品に合わせて経験や知識を再構築/再構成しなければならず、それに合わせて不明点を埋める作業つまり取材をするものです。異世界やファンタジーものなら隠せるかもしれませんが、現実世界の成分多めの作品にするなら最低限の取材をすることは読者への礼儀でしょうね。
それで本作を捉えると、ネットからつまみ食いしたネタを切り貼りしてるかのような横着な印象を受けます。浅さが透けて見えると作品に没入するのは難しい。横着すると往々にして人物描写もたかが知れてくる。これはきっと原作が悪いのではないかと思われます。
下手に実在のオブジェクトを持ってこなかったほうが良かったのでは?


■そうは言っても完走しちゃうぜ
中途半端な現実とのリンクには閉口しましたが、いったんそれを横に置くと、迸るB級の波動を満喫することができます。
{netabare}・幼馴染の扱いがとことんひどかった。
・あのガラスがパキンパキンの最終回がめっちゃ唐突。
・ザイこの後どうすんねん?{/netabare}

「ははは、しょーがないなー」と「ダメだこりゃ」の二択であれば前者になります。
あまりにも変だと不思議と愛着が湧くものなのかもしれません。

リアタイとしては同クールの『コトブキ飛行隊』と女子の戦闘機乗りモノ系列の比較対象があるなど、リアタイ組ならではの楽しみもありました。
クールで誰しもが必ず一つは巡り合う?愛すべきポンコツ枠みたいなもんかしら。オススメはできませんし評点も低いですが、わりと自分が好きなダメさ加減でした。
ダメさを睥睨することに快感を覚える隠れSタイプの方にはお薦めです。



-----
2019.09.10追記


視聴時期:2018年1月~3月 リアタイ視聴


原作小説第1巻 - 第3巻と第8巻の一部を時系列順に再構成した内容となっている。(wiki引用)



2019.04.03 初稿
2019.09.10 追記

投稿 : 2024/12/21
♥ : 49
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

戦闘機を取り扱っているのに、空戦は見どころではない不思議な作品

原作未読。最終話まで視聴。

【中国押しが気持ち悪い】
{netabare}主人公の彼女をはじめ、終始中国押し。
本編最後のセリフも中国絡みと、とにかく中国押しが気味が悪い。
中華アニメでもあるまいし・・・。{/netabare}

別に中国が嫌いって訳じゃないんですけどね。

【ツッコミどころ満載のガバガバな設定】
{netabare}多くの人がレビューに書いているので、今更ですが・・・。
主人公の少年が国家機密レベルのメンバーに加わった経緯も大概。
”国家機密”が自由に基地を出入りできちゃう不思議・・・。
挙げればきりがない。

リアルとSFを中途半端にくっつけるから、色々と矛盾が生じるのでは?{/netabare}

細かいことを気にしなければ、とりあえず最後まで視聴出来るレベルの作品。
間違っても、他人様にお勧めできるレベルの作品ではありません(笑)。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

74.2 4 テクノロジーで戦争なアニメランキング4位
虐殺器官(アニメ映画)

2017年2月3日
★★★★☆ 3.8 (254)
1861人が棚に入れました
世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?

声優・キャラクター
中村悠一、三上哲、石川界人、梶裕貴、小林沙苗、大塚明夫、櫻井孝宏
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ジェノサイドの匂い

伊藤計劃原作、PROJECT第3弾。
ゼロ年代SFベスト国内篇第1位。

核の炎がサラエボの街を焼いた。
テロの脅威に対抗すべく先進国では、
科学技術により監視の網の目が張り巡らされ、
一方発展途上国では内戦と民族対立により、
無数のジェノサイドが頻発していた。

虐殺の陰に常に存在が囁かれるジョンポール。
ジョンポールとは何者か!?
{netabare}アメリカ国防総省で言語を研究していた彼は、
ある日を境に公然と姿を消した。{/netabare}
頻発する内戦と彼との因果関係は!?
内戦の混乱の中、主人公クラヴィスを中心に、
アメリカ軍によるジョンポール捕獲作戦が開始される。

伊藤PROJECTでは最も理解が容易い作品です。
ジョンポールの目的は明確でした。
{netabare}ホロコーストの歴史を学び、
ルワンダやカンボジアの虐殺を学び、
彼は人が持つ古い機能を見つけたのです。
人には虐殺を司る「器官」が存在し、
その器官を刺激し活性化させる「文法」があると。
言葉が人間の行動にいかに影響を及ぼすのか。
良心を捻じ曲げテロリストの芽を育てる。{/netabare}

戦場の少年兵を平易に殺戮するクラヴィスは、
感情を最適化された現代人の象徴でしょうか。
極めて理性的で空虚な人物たちの物語。

皆様にもぜひ触れて頂きたい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 50
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジェノサイドの正当化

または
虐殺をジャスティファ~イ

いつもながら原作は未読。本編もレビューも不穏なタイトルですね。文字通り不穏なやつです。
少し前に遇々『バビロン』という迷作に触れ、その作品談義で頻出してたタイトルがこれでした。

・34歳の若さで早逝した原作者伊藤計劃
・原作『虐殺器官』その評価の高さ
・ノイタミナムービーなるブランド

これまで知らなかったことを知ることができました。これだけでもお得感あるかしら。
早逝したこともあり数少ない輩出作品をアニメ化する試み「Project Itoh」三部作の締めを飾った作品。2017年2月公開のR15+指定。115分です。

あらすじ:サラエボで起きた各爆弾テロを機に世界各国でテロが激化。アメリカを筆頭にテロに対抗する中で先進国では沈静化の方向。後進国では内戦や虐殺が頻発。といったIFストーリー。
後進国で指導層に接触し対立を煽り、内戦や民族対立による虐殺などを引き起こす黒幕として暗躍すると見做されたとある人物を暗殺せよ!
その実行役である特殊部隊員クラヴィス・シェパード大尉が主役の物語です。


戦闘行為にまつわるグロ表現っぷりでR15+指定となってます。
詳細に触れると、タイトル“虐殺”から想像しそうなスプラッター的おどろおどろしさが主成分のグロではありません。あくまで銃撃戦で斃れる敵兵の描写がそれらしいだけ。想像と違ってライト風味かもよってことは指摘しておきます。程度や具合は18禁ではなくR15指定ということでお察しくだされ。
年齢制限が入るのはクリエイターがやりたい表現をできていることの裏返しな部分もあって、本作のミリタリ描写はアニメの中でも超一級の部類に入ると思われます。オペレーションの合理性や演出の迫力などモノが違う感じがします。
『劇場版PSYCHO-PASS』のミリタリ描写との既視感を覚えましたが、プロデューサーがご一緒ということで納得。ノイタミナで辣腕をふるった山本幸治さんです。それでノイタミナムービーということもあるのね。いろいろ繋がってきました。


 世界観 ◎ ※後述
 軍描写 ◎


軍事作戦がベースにあるお話なので根っこが変だと台無しになっちゃいますがその心配はありません。
あとは通しでの物語の面白みであったり、黒幕ジョン・ポールの目的が腑に落ちるものかだったり、やはりというか作品から受け取るメッセージへの共感の有無が気になります。


 物語 △と○の間


タイトル回収を済ませ、大国のエゴも匂わせる国家の繋がりや人間の持つ原罪のようなものへの言及。おそらくこうだろうと想像できる結末もアリといえばアリ。ただしいかんせんよくわからない。

 {netabare}雰囲気だけかっこいい?{/netabare}

劇場版なので視聴者に想像させる手法を否定しないけど軽い匂わせ止まり。肉を焼く匂いで白飯を食べるような感覚。もう少し踏み込んで欲しかったです。
ところがふとしたとこで原作のネタバレを聞き、

 物語・改 ○と◎の間

となりました。

※原作ネタバレ
{netabare}ジョン・ポールの遺志を継いだクラヴィス・シェパードがアメリカに戻り、“虐殺の文法”を駆使してアメリカを内戦に導いていく。{/netabare}

{netabare}小国の犠牲の上にある大国の繁栄について自問自答が描かれてたとのことです。南北問題ですね。{/netabare}


“人工筋肉”なるガジェットが途上国の子供たちによる搾取的な労働に支えられている、とフェアトレード運動に通底するネタが挟まれてましたが、そんなネタが最終的に繋がっていくところまで提示しないのはもったいなかったですね。
とは言っても雰囲気や見た目を馬鹿にするなかれ、です。映画を観てる時間だけその世界に浸れる幸せを実感できる劇場版作品でしょう。その点で買い!優秀な娯楽作品です。




※後述…の世界観◎について

■United Nations

“国際連合”とは意図的な誤訳です。“連合国”が正しくその国連憲章には日本を敵国と見做した条項が残存していることをご存知でしょうか。たかが条文、実態は違うとも言われますが、この敵国条項を除こうと日本が働きかけてもしっかりChinaは潰しにきてくれたりするのが現実です。
永らく“平和のための国際組織”と喧伝され教科書でもそう習ってきた私たちですが、非常に矛盾を孕んでいるのです。直近の事例だと国連の専門機関WHOの武漢肺炎をめぐるグダグダっぷりでしょうか。

 金だけ出して口は出さないでね

日本に求められてる役割がこれ。よって個人的にはあまりこの組織をよく思ってません。そんなとこへ作品の冒頭↓


{netabare}「寛容と多文化主義がこの国の美徳だったのに」と今は民族浄化に勤しむ途上国の指導者がベートーベンの『月光』をバックにシェパード大尉に独白します。
何故自国民に手をかけたのかわからない。黒幕ジョン・ポールの存在を匂わせる一幕です。その前段。

シェパード:
「その国民を殺して回る。あんたの言う政府とやらはどの国連加盟国からも承認されていない」
えらい人:
「国連?我々の文化を土足で踏みにじり、自決権を鼻で笑う最悪の帝国主義者どもが…」{/netabare}


主人公へのシンパシーはもちろんのこと小国の哀しみなんかをこの指導者に見ることができます。きちんと序盤から下地を作っているのです。



■1974年と1975年

原作者伊藤計劃氏とプロデューサー山本幸治氏の生年です。けっこう作品に影響しているような感じ。
だいたいにして小学生時代のバイブル。ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』が原題『A計劃』。これホント漢字なの?と伊藤少年の脳裏に焼き付いてたことは想像に難くありません。
多感な中高生時代で起こった世の中の出来事と暇な大学生時代に触れたであろう作品群。この年代特有の感覚が作品に反映されているとふんでます。

15歳前後で「ベルリンの壁崩壊」「ソ連崩壊」を経験。なんとなく大きなうねりが起こっていることを感じつつ、チャウシェスクの銃殺遺体のインパクトだけ覚えていた思春期。
中学の社会科では、“コルホーズ”“ソフホーズ”などを例にとり計画経済を好意的に捉えていた教科書で学んでました。なんせまだ崩壊前だったので。

その後の東欧民主化で泡を食ったのが欧州の火薬庫バルカン半島。ユーゴ紛争が停戦合意したのが彼らが社会に出る頃合い2000年頃でした。
思索に励むことが可能な大学生時代には小林よしのりの『戦争論』が大ヒット。United Nations(連合国)が構築したWWⅡ後の枠組みに疑義を呈した意欲作と言えましょう。

ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品『MONSTER』(浦沢直樹)
ユーゴ紛争で故郷を破壊した者への復讐の物語『PEACE MAKER』

90年代後半に発表された東欧を舞台にした名作群もきっと学生時代に目にしてるんでしょうね。
思えば「ソ連崩壊」とはもの凄く大きな出来事で共産主義の敗北に象徴される第二次世界大戦後の枠組みが崩れたことを意味してました。余波は覇権国アメリカにもおよび歪みの極地が“9.11”にと。

そういえば『MONSTER』のヨハンもニナも1975年生まれの設定です。
朝日・岩波的な言説がインテリの条件だった時代から潮目が変わったのはこのへんの年代からかしら。


国際紛争やミリタリ要素の強い作品を描く時にチェコやユーゴの東欧を舞台にしたくなる気持ちがわからんでもない世代。
お話にしやすい国際情勢の煽りを若かりし頃に浴びちゃったこともあるし、中東やジャングルでの紛争よりも身近に感じることのできるエリアでした。今は情勢も落ち着いてますので実際訪れてみるのをおすすめしますよ。異世界ものにありそうな古き良きヨーロッパの風景は中欧・東欧に残ってます。



視聴時期:2020年3月

-----
2020.12.09追記

5月が初稿の本レビュー。半年経過して“武漢肺炎”の呼称は聞かなくなりましたね。“新型コロナ”で定着した感があります。こうして振り返って気づくことはままあります。
定点観測することで変化に気づく。現在の断面だけ見て踊らされることのなんと多いことか…


2020.05.18 初稿
2020.12.09 追記

投稿 : 2024/12/21
♥ : 35

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「僕達」は「終末」である。それとも、「始まり」であろうか?

これは心に「覆い」が被さる前に、「無感覚」になる前に、「罪」を背負って「罰」を受けなければならない、「僕達」の物語だ。



『虐殺器官』と言う小説が出版された時の事は、今でもよく覚えています。
小松左京賞なんてど偉い賞の最終選考に、円城塔氏の『Self-Reference ENGINE』と共にノミネートされた本作『虐殺器官』
2006年は、約10年と言う歴史を紡ぎ終えた賞において、最上級の激論と最大級の衝撃が巻き起こった年だったといえるでしょう。
賞が作られてから初めての受賞者なし
小松左京賞を作った小松左京氏自身が、『虐殺器官』受賞を反対したと言う事実
しかし、反対された当の本人は時代を切り開いた、鮮烈な立役者でありました。
発売された当時、「傍観者」であった私も書店へ行って購入した事が記憶に新しいです。

そして、昨日、この映画を観て、ああ、また思い出してしまいましたよ。
ページを捲っていく中途に段々と生じていった、あの「緊張感」
他人の「業」を眺めていく内に、自らに薄汚い性悪説を見せ付けられていく、あの「嫌悪感」
そう、あの最後に至ってしまった時に生じた、ざわざわとした感情も…
「恐怖」と俗にカテゴライズされる物が、私の脳裏を一色に染め上げて行く感じ
原作もそうだが、この映画も同じくそう…
下手すると、この『虐殺器官』と言う作品は、べたなホラー映画よりも恐ろしい。
「共感性」も「罪悪感」も持たない、感情を操作された、相対するゾンビ共の紡ぐ、実に「人間らしい」物語です。
詳しくは他の方がかなり緻密に、詳しく説明されているので私は割愛するとしましょう。
また、「虐殺の経済学」について知っている人は、ジョン・ポールの目的にもやすやすと辿り着くと思いますので…
驚きたい人は無理に調べない事を推奨します。

さて、これから観る方達は、映画を見終わって自分達の家に帰るまでに、様々な「傍観者」を見る事でしょう。
スマホを見ながら、脇見せずに画面だけ見て歩く人
音楽を聴きながら、外界と隔絶した世界を自身の中に構築してる人
和気藹々と語り合う家族や友人同士、恋人同士などの群れる人
世の中には様々な人間がいます。
しかし、そんな彼らに違和感を感じたなら、あなたの鑑賞姿勢は大成功、充分に映画を理解したと言えるでしょう。
人々は「見たいものしか見ない」もの
あなたは「見たくない物」をきちんと見据えられていますか?
映画を観終わった後に「見た者」を見て、あなたが「違和感」を感じる事の出来る、「ほんとうのこと」を見咎められる、強い人間である事を祈っています。

今作は終わらないノイズが語る、「終わらない終末」「滅びのない滅び」
つまり、これは「僕達の終末」を描いた物語
そして、これは「僕達の始まり」を描く物語
決して終わる事のない、これから先も紡がれるであろう「終末の物語」です。
彼の言葉を阻む事は決して出来ない。
私達に出来るのは、彼の遺志を、他者に語り継いで伝える事だけ…
あなたは『城』の住人であり続けますか?
それとも「測量士」となって、周囲を見渡す覚悟を持ちますか?
「終末」を選ぶか、「始まり」を選ぶかはこの映画を観た私達にかかっていると言えるでしょう。
さあ、決断の時だ。

P.S.
もう既に原作『虐殺器官』をお読みになった方へ1つご忠告を…
この映画では、原作において恐らく最も印象深かったであろうシーン、「母親」とのシーンが丸ごとカットされています。
しかし、違和感は全くありません。
寧ろ、制作側も苦渋の決断だったようで、パンフレットを買うとそのカットした「意思」が大変よく分かる物でした。
気になる方は是非ともご購入を…

P.P.S.
http://www.news-postseven.com/archives/20120425_101144.html
本書が発売された当時は「夢物語」だと想っていた産物が、10年経った現在では「預言書」として扱われています。
どうか、この「預言書」が「預言」のままで…
「預言書」が「歴史書」に変貌を遂げない事を願います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16

65.9 5 テクノロジーで戦争なアニメランキング5位
Fairy gone フェアリーゴーン(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (254)
953人が棚に入れました
かつて妖精は、"兵器"だった――。この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士たち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものはテロリストに。それぞれの生きる道を選択する。戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、復讐のためテロを起こす。これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う『妖精兵』たちの物語――。

声優・キャラクター
市ノ瀬加那、前野智昭、福原綾香、細谷佳正、諏訪彩花、中島ヨシキ、園崎未恵、子安武人、大塚芳忠、津田英三、種﨑敦美、沖野晃司、小松未可子、間宮康弘、津田健次郎、麦人、川田紳司、寿美菜子、井口裕香、興津和幸、江川央生、伊藤静、土師孝也、東地宏樹、乃村健次
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

体裁だけは名作風

ベテランのラノベ作家が原案・脚本でぱっと見作画はとても綺麗、声優も惜しみなくベテランを起用して音楽にもこだわってる…と概要だけなら名作としか思えない雰囲気

……なんだけど、実際に見ると疑問とツッコミしか湧き上がらない出来
やりたいことは分かるし、設定も膨大でキャラの背景まで作り込まれてるのにそれを脚本にも演出にも反映しようとしてないから上滑り感が漂う
作家が好きなのでHPは確認して、放映分(3話まで)は設定やあらすじ、伏線を一通り読み取れるように最低でも各3回ずつは視聴しているけど、正直見る度ツッコミどころが増えている状態

1~3話視聴時点
{netabare}まずよく言われるけど固有名詞の羅列について
これ自体は別に気にならないし、ファンタジーなんだから独自の世界観を感じられる良い要素のはず
ただ、語るべき部分と不要な部分の取捨選択がズレ続けているから何を言われても耳に残らない
そもそも主人公たちが所属するドロテアは何を目的に動くのか?主要な任務はなんなのか?という基本すらアニメ3話時点で曖昧なまま
そしてヒロインがドロテアに所属する経緯も、マスコット役の小動物が押収物として回収されずにヒロインと一緒にいる理由も、それどころか仕事先の省庁に動物を連れて行く理由も一切語られない
1話で争点になって3話で一部情報が開示された「黒の妖精書」は確かに重要だけど、キャラを取り巻く環境が不明なまま話が進むから行動原理が全体的に不明瞭なままになる
そういう基本情報はおざなりなのに、妖精書の著者名ばかり羅列されてもそりゃあ意味不明としか言いようがなくなってしまう

そしてキャラの行動原理について
1話でオークション警護の任務に就いていたマーリヤは探していた幼なじみを庇うために(立場上)先輩にあたるフリーに対して威嚇射撃を行う。
それ自体は「芯の通ったキャラクター」のような振る舞いだけど、全体を通すとツッコミどころしかない

①任務をサボってオークションの出展物を弄る
②幼なじみ(ヴェロニカ)がオークションを襲撃し、複数名を殺害する
③ヴェロニカを止めるため戦闘を開始したフリーに対して威嚇射撃を行う

つまり、物語冒頭から一切仕事をしないばかりか邪魔だけを行ったことになる
マーリヤの理屈としては、「故郷を同じくするたった一人の生き残り」であるヴェロニカを探すため、敢えてオークション警護を受けたというものがある
そのためフリーを止める理由は一応あるわけだが、それにしても殺人強盗を犯した相手を一切諫めず庇い立てするのは行動に正当性が無さ過ぎる
しかもこの行動が人物背景が曖昧な1話時点でのものだから、マーリヤに共感も同情も感じられずただ不快な行動に映ってしまう

そしてこの1話ラスト、フリーはマーリヤを自分が本来所属する組織、「ドロテア」にスカウトするわけだが、普通に考えて有り得ないだろうと
いくらヴェロニカに繋がる人間とは言え、仕事を放棄して自分に銃を向けた人間を引き入れるなんてリスクのほうが大きすぎる
ともに仕事をする中で「感情にまかせて背後から狙撃される可能性」というのを考えないのか?
しかも各話アバンにてフリーは大戦を生き抜いた元兵士だと明かされている
なら余計に裏切りのリスクは理解しているべきだし、キャラの背景を理解するほど行動の矛盾が大きくなってしまっている

ちなみに1話でこんな暴走をしたマーリヤ、2話3話にて「仕事でしょ?やります」「仕事だから撃ちます」と決め台詞のように「仕事」を連呼する
初登場から仕事を無視し続けた人間なだけにすさまじい説得力があると思う

そして何より気になった演出、作画について
基本的にこのアニメは作画がとても良いと評判だけど、正確には「止め絵がとても良い」だと思う
やはりツッコミどころになっている1話アバンのフリーが剣を投げるシーン
「上」の決定への不満から剣を投げるが、何故か下手投げ。しかも叩きつけられたかのように勢いよく地面に突き刺さる
そもそも怒りで当たり散らすなら上手投げだし、剣は刺さらず地面を転がるだけでは?
そして2話アバンで戦友がフリーを庇って刺されるシーン
右手に剣を握り、フリーから見て左手側から真横に走ってきてフリーの前に立ちはだかるが、敵に刺された衝撃で握った剣を左前方に投げ飛ばしている
横から来たなら剣は慣性に従ってフリーの右手側に飛ぶはずでは?そもそも歴戦の兵士(HPによると英雄とも呼ばれる人物)が覚悟して刺されに行ったのに剣を手放すか?
そして3話のビター・スウィートが走るシーン
カットごとに剣の持ち方が順手、逆手でコロコロ入れ替わる
走るとき、人混みの中だけ逆手なのかな?と思いきや相手を攻撃するときは常に逆手のため、順手で持つ理由がそもそもない
また、ビター・スウィートに対してマーリヤが発砲する際、ビターの足元に撃った跳弾がビターの正面にいるフリーに向かって飛んでくる
どこから撃ったかというとビターの背後…ではなくビターの正面側、つまりフリーの後ろの建物の屋根から撃っていた
ビターに撃った弾がピンポイントに地面の角に当たってフリー側に跳ね返った?

こんな感じで、「格好いい止め絵」を描くために前後の動きの整合性を無視したシーンがあまりにも多い
そりゃ突き刺さった剣越しにキャラが映ってる画がお洒落なのは分かるけど、そのために動きに違和感持たせちゃ駄目だろうと
ついでに2話のバイクは全体的に手抜きがバレバレ過ぎた
バイクが横転する場面は横転させた原因も理由も分からないような引きの画だし、
横転したバイクを立て直して相手を追う際にはバイクを拾いに駆ける様子どころかバイクを立て直す動きすらカット、追いかけた相手がいきなり急停止したさいにバイクを降りて強襲する動きもカットしていきなり敵の尋問を始める
見ていて「バイクの乗り降りを描くのが面倒くさいから手を抜いたんだなあ…」ってのがはっきり伝わってくる

脚本面でも触れたけど、全体的にカットの取捨選択があまりにも適当すぎる
「ここは物語に重要じゃないから省略しよう」じゃなくて、「ここを描くのは好きじゃないからカットしよう」で制作してるんだな、と


最後に脚本の構成と設定開示について
このアニメ、公式HPやTwitterを閲覧することが前提の構成になっているのが何より大きな問題
2話にてマーリヤがウルフランの撹乱に気付くシーンがあるが、何故気づけたのかはTwitterでしか明かされない
ついでにマーリヤが愛用しているのが何故猟銃なのかもTwitterでの開示
国家や街、各組織の特徴はHPでのみ開示されている
要するに、オリジナルアニメでありながら視聴者に「予習」を求めた作りになっている
これが漫画・小説原作ならファン向け作品と言うことである程度納得もいくけど、オリジナルで展開しながらアニメ内で世界観を完結させられないのは脚本としてどうなの?としか言えない
前クールでオリジナルアニメの「荒野のコトブキ飛行隊」は、突飛な設定だけど設定自体はそこまで重要じゃなく、シンプルなシナリオと分かりやすい空戦の迫力をウリにしていた
その上で裏設定を推測できる情報を散りばめて世界観を広げていたけど、本作はその真逆
「妖精」にまつわる様々な設定がシナリオの中核にあって、2クールかけてそれを丁寧に紐解いていく難解なシナリオがウリ…のはず
なのに設定はアニメ内では明かされず、アニメ単体では世界観があまりにも狭いものになってしまっている
取っ付きにくい独自設定を、そもそもアニメ内で理解させることをすでに諦めている時点でオリジナルアニメとしては失敗なんじゃないかとすら思う

これですら全体のツッコミどころのうち半分にも満たないレベルの粗まみれ
今後も視聴はするけど、そろそろ無難に楽しめるレベルの話を見せてほしいかな{/netabare}


4話視聴
{netabare}フリーやっぱり無能すぎないか?
ビターの妖精の能力をやられただけやり返すカウンタータイプと見抜いたのは流石に戦い慣れてる
けどそこから、なんで攻め倦ねる?
カウンタータイプの弱点は受けたダメージをビター自身も無視できないって点だろうに
だからここでフリーがとるべき行動は、マーリヤにフォローを任せて相討ち狙いで攻撃に専念すること
なのに妖精の痛みにビビって拳銃にもビビって動けなくなる始末……
ついでに言えばビターは戦闘前にルパンもどきに一発、戦闘中に4発近く発砲している
リボルバータイプなら残る弾数は1発か2発、戦闘中のリロードは実質できない
予備の拳銃を取り出すだろうと想定しても、その隙を狙えば十分すぎるくらい勝機はある
発砲の予兆から避けるくらいの技量があるのにそんな簡単な計算もしないのか?
そしてマーリヤまさかの特攻
ここは近接用にナイフを持っていたりと好きなシーン、だけどフリーあまりにも情けない
そりゃビターにも煽られるよなぁってだけじゃなく、戦争で庇われた頃から成長してないかよ、と思ってしまう
2話でウルフランが「お前は俺に追いつけない」って言ったのに納得してしまった

そっから一旦場面が切り替わって回想
アバンの回想地獄から解放されたと思ったらこれか…
まあ最後まで見ると必要な演出だったと分かるけど、それにしても後半でも回想挟むしちょっとクドすぎかなあ
というか何より時系列の歪みがエグすぎる
なんで回想の途中でさらに2年前の回想を入れようと思ったんだ…
最初見たときは『2年前』って表記が何時の時点からの2年前か分からず本気で困惑した
回想くらい順番に進めてくれよ…

そして場所を移してドロテアによる査察
妖精兵器による反乱を起こさないかを調査してるんだろう、というのは分かる
フリーの上官と、その女性のかっての上官が立場を変えて領主と査察官になっているのは時代の流れを思わせて好きなシーン
だけどやっぱりドロテアの活動が不明瞭すぎるし、査察を受けた領地が統一ゼスキアにどういう立場で従っているのかも不明瞭なまま
いずれ明かされる伏線として意図的に隠す部分も有るだろうけど、単純な描写不足で必要なところまで隠れているから意味深なようで意味深にも見えない微妙な展開
そしてこの領主に匿われる形でウルフランが登場するけど、全員の立場が何も見えてないから
「何故ウルフランがこんな所に!?」の驚きよりも「そりゃウルフランくらい出てこないとこのシーン不要すぎるしなぁ…」と変な納得をしてしまう

あとはフリーの無能パート
置き引きにまんまとやられる…のはまあお約束だから最早ツッコまないけど、
そっから誘導されてると分かっていながら分断に引っかかるのはさすがに駄目でしょう…
というかツーマンセルで相手が動いてるのはわかっているんだし、近接戦闘が苦手で本調子でもないマーリヤを一人暗い場所に置く時点でおかしい
そもそも妖精書を入れた鞄を自分が持つこと自体おかしい
妖精書を狙うビターの足取りが掴めず、ルパンもどきを連れ去る人間もいる
となると自分達と妖精書が狙われる危険は割と高いわけで、そんな状態で二刀流かつ近接特化の自分が妖精書を持つのは戦闘で邪魔だろうと
鞄自体妖精書くらいしか入ってない小さなものだし、本調子でなく戦闘に参加できないマーリヤに持たせるべきだろうと
要らんフェミニストぶりを発揮して自分が鞄を保持した挙げ句目を離して置き引き食らうって最悪すぎる

ちなみに良いと思ったシーンも今回はあった
さっきのマーリヤのナイフもそうだけど、フリーが地下墓所への通路で拳銃を取り出したシーン
狭い場所では剣を振れないために拳銃を握るって言う判断は合理的だし装備としても違和感がない
……まあフリー自身も拳銃持ってるならなおのことビターの拳銃の装填数は考えているべきだけど
ただ、惜しむらくはやはり演出
ただでさえ暗い地下墓所で、しかも黒い拳銃を握るなんてシーン何やってるか見えるわけ無いだろうと
何を装備したのか通路を降りる段階で手元をアップにしてくれよと
結局通路を降りきるまで何持ってるかよく分からないのは単純にもったいない
ついでにマーリヤ腹を刺されても悶えないって超人すぎない?
妖精がダメージを食らうと痛みで何もできなくなるのに、いくら小さなピックと言えども自分が刺されればもっとルパンもどきくらい苦しむだろに
もしかして妖精のダメージフィードバックのが本体のダメージより痛い?んなアホな…

粗筋については今までと変わらず、1話の話を少し振り返ったことで多少伏線を回収しようとしたのは今までより良かったかな?くらい
まあそれに倍する勢いでキャラと勢力を増やしていったから意味ないけど

ヴェロニカお前もしかしてステンドグラス越しにストーキングしてたのか?とか監視対象が地下に潜ったなら屋内で待機しとけよ、とかツッコミは追いつかないけどそれはそれ
次回はもっと面白ければいいなあ…
{/netabare}


5話視聴
{netabare}アバンで怒濤の回想
分かるよ?やりたいことは
でもこれ4話の戦闘の続きな訳で、なんで盛り上がりをぶった切って回想詰め込むの?
内容そのものはマーリヤとヴェロニカの過去と、そこから連なる現在を対比的に見せているので面白い…というか今までで一番好きな内容だった
でもタイミングはそこじゃないよね?多分Aパートのマーリヤとヴェロニカの会話に関する情報を開示するためにこの回想を用意したんだろうけど、
作中のドラマに落とし込むことができず、場当たり的に必要なシーンをアバンに突っ込んだ印象が強くなってしまってる
陳腐ではあるけど、マーリヤとヴェロニカが決別に至る前にレイ・ドーン襲撃や一人村を旅立った様子などを語り合う形でいいのでは?

そして相変わらず無能のフリーさん
パティに苦戦する中スイッチが入って一転敵を打ち負かす、ありがちだけどハマると格好いい演出
ただ、動きや戦法が変わったわけでもなく、スイッチが入った結果やったのは「力押しで敵の剣を折る」…は?ただの火事場の馬鹿力?
そして本気になったはずなのに敵に武器を構える時間を与えたり、それどころか武器の詰まった鞄をわざわざ敵に蹴って返す始末
敵の方はというと、戦力差を見極めて受け取った鞄をもってさっさと撤退、盗んだ黒の妖精書をフリーに投げることで追走を躊躇わせる潔い判断力を見せる
そしてBパートの歓迎会では敵を捕まえられず機嫌の悪そうな様子を見せるフリー
逃げられた理由は「舐めプして武器を与えて棒立ちしてたから」なのに不機嫌になるって……マジでセルジュに介護してもらえば?

4話から続く黒の妖精書騒動に一区切りついたところでフリーの行動を列挙すると…

①ビターの拳銃の装填数に気付かず、さらに妖精の能力にビビって近づけなくなる
②ドロテア以外に最低2つの勢力が狙っている黒の妖精書から目を離して置き引きにあう
③ツーマンセルを組む相手を追跡中、敵に誘いをかけられていると気付きながら相方と分かれて行動……ちなみに相方は本調子でなく後衛のため自衛手段なし
④敵が思ったより強いため油断を捨てる……かと思いきや力押しが酷くなっただけで舐めプはさらに悪化、自分の慢心から敵を逃がす

これはちょっともう駄目すぎだろうと
結果的に敵が逃げを優先して妖精書を返してきたから結果オーライだったものの、持ったまま逃げられたらどうするつもりだったのか
そもそもビターの手に途中で妖精書が渡っていたら、フリーは妖精書を奪われた挙げ句襲撃犯を逃がす大失態を犯していたところだった
1話時点ではマーリヤのが酷いと思ってたけど、蓋を開けてみればフリーがそれに輪をかけて無能だったというオチ
感情を優先するマーリヤをスカウトするなんて謎采配だと思ったけど、本人が感情優先の舐めプ野郎なんだからそれも当然だったのかも

残るシーン、マーリヤとヴェロニカについてはいい感じ
殺しを平然と行うヴェロニカに対して動揺を見せてくれたし、マーリヤが今後どう向き合うかは純粋に気になる
ただまああヴェロニカの身体能力はリアル調のアニメでやって良い演出ではないだろうと思う
みんな多少アニメめいた動きはするけど、中でもヴェロニカはやりすぎて白けるくらいある
キャラの好みと「意味もなくカッコつけたシーンにしたい病」で相変わらず考えなしのカット作ってるな、と

公領関連は今後の事件の焦点になるだろうから現時点ではノーコメント

ドロテアの歓迎会は…いらなくないか?
未だに組織の様子はほぼ見えてないのに、歓迎会でキャラだけ増やされても何とも思えない
というか愛着のない新キャラが半数以上を占める日常パートって純粋に退屈
歓迎会やるならそもそも入隊時の描写を細かく見せないと説得力がない、くらいの感想しかない

総評としては今まででは一番面白かった回
ただ、それも本筋と独立した回想の描写だけで、いざ本筋になると「シナリオ進行のためのシナリオ」みたいな行動の不可解さ、意味のなさばかり目立つ脚本と作画は相変わらず
マーリヤについては今回で多少好感度もあがったので、次回以降フリーが有能さを見せてくれるといいなあ…無理だろうけど
{/netabare}


6話視聴
{netabare}妖精を出さず、ドロテアの仕事の様子をメインにしているのは割と好き
ただ、人工妖精の暴走と黒の妖精書発見を同時に扱うのはどうなん?って思う
錯綜する事件や情報が、最終的に一つの点を結ぶってのは展開的に予想できる
ただ、錯綜するものを同じ話数で等分して描写するからどっちも半端になって内容的にはスカスカな印象になってしまってる
暴走原因の調査を今回のメインにして、Bパートラストで黒の妖精書発見のニュースを仕入れて7話でそっちにシフト、じゃ駄目なのか?
フリーの無能を示しただけのパティ戦とか無駄話だけで掘り下げにならない歓迎会とかやってる割に本筋の尺がカツカツなら明らかにペース配分がおかしい

しかも黒の妖精書追跡にマーリヤとクラーラが出動するのがおかしい
二人とも役割は後衛なわけで戦闘になれば勝ち目はないだろうと
今回はただのゴロツキだから良かったものの、黒の妖精書なんて結構な勢力が探し求めてるのは3話のアレで分かってるだろうに
というか酒場に行かせたりバイクで尾行したりって、どう考えても女二人じゃ目立ちすぎると思うんだが
私服で素性を隠しているはずが逆に目立つ結果になって、オークション代理人にバレて危うく逃がすところだった
ネイン局長は人選についてドヤ顔だったけど、対象者確保に成功したのはほぼ結果オーライ
フリーだけじゃなくその上まで無能なのか…?

というわけで話はスカスカなのにツッコミどころは減らない感じ
予告とかあらすじを調べた時点では、話が大きく動くと思ってワクワクしてたのに、あまりにも内容が無さ過ぎてガッカリしてる
ついでに言えば、クラーラの回想とかまっっっったく要らない
5話の歓迎会でネイン局長との出会いを語っているわけで、その時点で入隊の動機は察せられるやろと
それをわざわざ回想を挟んでまで改めて描写するなんて正直時間の無駄だし、そもそもタイムリミットのある中で対象者を探すって状況でやる話じゃない
尺稼ぎみたいなシーンは多いのに肝心の本筋は描写不足ってのが本当に多すぎる
7話はもうちょっと本筋に主眼を置いた展開になってほしい
{/netabare}


7話視聴
{netabare}今までの中ではハッキリと面白かったので物語の評価を0.5引き上げ
やっぱアクションシーンが無いほうがこの作品面白いんじゃないか?と思う
これまでは半端にアクションを挿入することで設定がただ記号的に語られる上滑り感があったけど、
ドラマをメインにしたことで設定に意味が出てきた印象
逆に、妖精を使ったスタンドバトルを期待してた人にとっては6話に引き続き退屈な回だっただろうな、と

ビターが絡んできて、グイ・カーリンの幹部から妖精書を回収しようと奔走する流れは結構気に入っている
正攻法では黒の四を見ることができないなら、ドロテアに押収させてでも目的を達成しようって考え方も面白い
互いにやり過ぎなければ政府機関もマフィアも遺恨を脇に置いて協調するって流れは世界観にマッチした雰囲気を感じる

人工妖精の暴走についての捜査も面白そうな雰囲気ではあるんだけど、やはり妖精書と構成を二分したために微妙な感じになってる
元公安のチェイスが伝手や過去の捜査から真相に迫ろうとする様子や、
妖精省と軍部の軋轢、その間に入るドロテアって図式は政治ドラマとして普通に面白い
ただ、6話から一つの筋として辿っていくならともかく、
話が妖精書と行ったり来たりしつつ更に他の陣営の様子を交えつつ、大量の人名を整理していくのは面白さを理解した上でもやや面倒くさい

物語の展開的に現時点で重要なのは黒の妖精書探索よりも人工妖精の暴走事件
ただし、黒の妖精はマーリヤがメインなのに対して人工妖精はチェイスがメインでフリーは脇を支える役割
「話的に人工妖精を追いたいけど主人公を見せるには妖精書を追わないと…」
みたいな状態になってしまって主軸を定めきれない脚本になったのかな、と

こっからはツッコミ
いよいよ人物名が処理しきれなくなってきた…
群像劇の要素が強いから人物が多いのはわかるけど、会話パートでいきなり第三者の名前が出てきても誰のことだかわからなくなる事がある
特に人工妖精の暴走原因を調べる技師たち
6話で数分しか出ない上に名前を呼びあうのは仲間内だけ、みたいなキャラが7話ではチェイスのセリフ中にポンポン出てくる
おまけに未登場のキャラも会話上で登場するようになるので整理がかなり大変
台詞の途中で名前を出す際に顔を映すとかしてくれればいいのに
こういうときはお得意の回想を挟まないから、理解をこっちの記憶力に依存し過ぎな演出になってる

というか回想、今回は珍しくアバンにも本編にも登場しなかった…んだけどCにぶち込みやがった
しかもビターの回想、かつ現在の時系列で扱う事件に関わってくるかどうかも一切不明な内容
いい加減に、「脚本にうまく織り込めないから適当にぶち込んだろ!」みたいな回想の入れ方はやめろよ…
ただでさえ今回はEDの入りが演出的に最悪だったのに、Cパートまで意味不明って有り得ない

序盤から続く固有名詞の羅列がいよいよ問題化してきたな、という以外は割と問題なく見れた回だった
回想の不要さは最早お約束レベルだし、そろそろ(呆れるという意味で)慣れてきた
ついでにバトルなどアクションシーンがないおかげでコンテの違和感も最小限ですんだのも高評価
こんな調子で8話も期待したいけど、そろそろバトルが出てきそうだし、そうなるとまた酷い演出を見せられるのかな…という不安が残る
{/netabare}


8話視聴
{netabare}6話7話と積み重ねた話を雑に流す内容……Aパートは好きだったがBパートが洒落にならないレベルで酷い
ギルバートの屋敷に乗り込んだあと、支援型妖精を扱うクラーラが突入の合図を示す流れはかなり好き
支援型ってやっぱりこういう市街地では無類の汎用性を示すよなって感じ
とは言え屋敷周辺を他の隊員が固めるってのは7話の時点で見せていてほしかった描写
普段から小出しにしている回想とかじゃなく、こういう緊迫感ある展開こそ伏線があればよりワクワクしたのに、というくらい
で、タイミングを見てビターを取り押さえようと目論むドロテアと、それを察して出し抜くビターの構図も面白い
必要となれば裏切りもするけど、一応の義理立てとして妖精書を放置してドロテアに回収させるのも「憎めない悪役」という雰囲気
……まあビターを確保するってのも8話でいきなり出てきたから、辻褄合わせのぽっと出なフレーズに聞こえてしまって上滑りするのは相変わらず
設定を開示することには余念がない割に人物や組織の目的・行動に対する描写が全然ないから、
「やっていることはわかるけどもっと見せようがあるだろ?」みたいなモヤモヤ感が付き纏う

そして妖精書確保が終わったら本格的に人工妖精暴走事件
こっからが本当にひどかった
内部犯行の可能性と、アーケイムに匿われた元技術者のエディ・ロイドが関与している可能性、この2つからハンスの取り調べを行う
そしてチェイスの独自調査からエディ・ロイドに息子がいたという事実が判明する流れ
このあたりの展開は文句なしに好き
新型の暴走は操りやすい旧型を復帰させて首相を暗殺するためだった、というのも展開的に盛り上がる
なのになんで事件が尻すぼみのまま解決されるかなあ…
いや、チェイスは本当に優秀な雰囲気だったし、その後のドロテアの動きで事件が解決されたのも理解できる
でもアーケイムだのダミアン・ヴェロニカだの各勢力が結集している中で、結果的に「ただの様子見でしたー」で終わるってどうなんだ?
2話かけて記念式典を焦点にずっと話を盛り上げてきたのに、結局何事もなく事件解決、よかったね!で終わってしまうなんて…
アーケイムがまだ何か狙ってるのも、ハイブランツ公が暗躍しようとしているのも描写されてるし理解できるよ?
できるけど、こんなあからさまに話が盛り上がるポイントすら空振りさせる必要がどこにあるの?
というか式典でアーケイムもハイブランツ公も殆ど動きがないわけで、なら前2話で彼らの暗躍をあんな時間割いて描く必要あったか?って話になる
だったら上記に挙げた、妖精書関連でのドロテアの動きをもっと丁寧に見せる時間くらいあっただろうに

で、今回何より酷いと感じたのは挿入歌
何考えてるの?チェイスがバイクに乗りながら取り調べを回想してるシーンでバラードってなんかもうドン引きだったんだけど
確かに話の全体を見れば、結局式典も何も盛り上がらないちゃちなイベントで、犯人の心情描写が大事だってことはわかる
ただ、あの場面自体は「首相暗殺の時が迫る中、犯人確保に向けてバイクを走らせる」って緊迫感のあるシーンなわけで、
そんなシーンにあのバラード流されても「いやそんな場面じゃなくね?」みたいな気分になって笑ってしまった
というか挿入歌を入れるなら犯人確保後、搬送前のやり取りのシーンにすれば違和感もなかったのに
「EDをカットしたくない、でもイントロが本編にかぶさる形だから挿入歌を入れるとおかしくなる……せや、適当なシーンに歌流したろ!」みたいな感じ
今回だけ特殊EDとして歌を変えて本編にクレジットを載せる形にして、あの最後の場面のやり取りを掘り下げたほうが良かったんじゃないの?
なんかちょっと前に、「挿入歌は映像作成後に作られている!」みたいな記事があったけど、
あの映像を見てあんな挿入歌をぶち込んだなら音楽集団としてあまりにもセンスが無いと思うので嘘であってほしいくらい

あ、この回は本編に無関係な時間軸の回想はなかったので、その点は最高だった
まあその分前回のビターの回想が意味不明すぎるままなんだけど
次回は話が大きく動きそうな予告映像だった……けど、同じく話の動きそうだった今回がこの出来なので期待薄かな
{/netabare}


9話視聴
{netabare}いよいよ話が大きく動く回
ハイブランツ公が首相を庇った報奨として妖精武器を求め、それに応じてドロテアが搬送を行う…という展開
妖精武器を扱う戦争請負人、ビーヴィーによる襲撃という今までにない規模の戦闘が描かれていた

ハイブランツ公の思惑や暗躍を続けるウルフランの真意など今後の展開に係る描写も多い回
ただ、一番の見せ場である戦闘が相変わらず真っ暗なのが本当に酷い
襲撃に向いた地点を選んで夜間に戦闘を行うってのは合理的だしそれ自体はかなり好みなんだけど、本当に真っ暗にするアホがどこにいるのかと……
オマケにドロテアの制服は黒だし襲撃側も暗色系の服装、出てくる妖精も暗色で唯一分かりやすいのはビーヴィーの妖精武器のみ
オズの二丁拳銃にナックルガード状の刃がある…なんてこんな暗い戦闘じゃ分かりづらすぎる
せめて襲撃前に打ち合わせを行って、各々の武装を確認するシーンを用意するとかしてくれよと

あと、妖精武器が具体的にどう強力なのか全くわからないのはどうなの?
オズの妖精をスパッと斬っていたのは果たして能力なのか単純な切れ味なのかも不明
フリーが「こっちも妖精武器でないと対抗できない」と言っているが、能力不明なまま言われても説得力がなさすぎる
というかフリーは護送中の妖精武器を使って戦闘をするけど、ものすごくアッサリ負けてるわけで……
最終的に負けるのは分かるよ?普段と勝手の違う武器だし慣れない間合いでは勝ち目が薄いのも理解できるし
でも、武器を変えて挑んだ結果、互いに変わった力を使うというわけでもなく普通に戦闘し敗北
あんな簡単に負けるなら普段の双剣で戦ったほうが良かったんじゃないのか?という疑問が残ってしまう

マーリヤに関しては特に違和感も無いけど、やっぱ妖精デリケート過ぎない?
敵兵を貫通して威力の落ちた銃弾一発、しかも本人じゃなく妖精に当たったもので気絶するって何なんだろう
そんなに妖精がデリケートなものなら、敵の妖精に銃弾浴びせれば勝てたんじゃないの?

総評すると、「予定調和の敗北を見せられた回」といった感じ
というか、「突然の襲撃に味方が壊滅的打撃」って普通に考えればかなり盛り上がる展開なのに、
これまでにドロテアが活躍したシーンがなさすぎて「そりゃそうやろ」としか思えなくなってるのは脚本に問題がありすぎる
また、この襲撃でオズが犠牲になったけど正直何も思わないというか…
歓迎会で実質初登場(一応訓練や査察で出てるけど)したあと特に絡みもなく、8話Cパートで軽く言葉をかわした程度
ぶっちゃけ8話時点で名前忘れてた程度には存在感なさすぎなキャラだから、犠牲になろうが「はぁ、そっスか」くらいにしか思い入れが…
エガオノダイカのがまだお涙頂戴の準備をしていただけ若干マシだったとすら思えてしまう
思い入れが強いキャラを殺すと反発が来る、みたいな狙いからかもしれないけど1クールラストに向けた展開としては弱すぎるだろうと
これがセルジュ・クラーラ・チェイスのいずれかなら驚きや衝撃も強い分感情も揺さぶられたと思う
「マーリヤのトラウマを刺激するために適当なキャラを殺しとくか」、みたいな作業感が強くてむしろ萎えてしまった
お得意の回想でオズの掘り下げでもするのかな?したらいよいよギャグアニメとして笑うことにする
{/netabare}


10話視聴
{netabare}オズの死に責任を感じたマーリヤが迷い、仲間の説得を受けてドロテアの活動を続ける決意をする回
主人公が過去のトラウマを乗り越えるって展開はよくあるものだし、目新しさはないけどきちんとまとまった話だったと思う
ここにシュヴァルツ・ディーゼ、妖精省、チェイスらアーケイム捜索組の描写が挟まれることで、1クールラストに向けた助走の回となっている

ただ、面白いと感じた点とおかしな点が同時に展開されるのが惜しい
それがオズの死体の扱いとマーリヤの進退について

妖精器官は本来違法なもので、首相直轄のドロテアに所属していることで例外的に妖精兵の存在が許されているという点
オズの死亡をもって体内の妖精器官が妖精省の管轄となり、死体ごと持ち去られてしまうというシビアさは世界観にマッチした好みの展開だった
妖精器官の再利用などあるのか?や器官の摘出だけで済ませる事ができない理由はあるのか?など想像すると面白い

それだけに、進退を迷うマーリヤの扱いが気になってしまう
マーリヤは(確認される限り)唯一の妖精憑きであり、局長が情報を握りつぶしたとは言え希少価値は非常に高い
そうでなくても妖精兵としての登録を受けている以上、ドロテアを離れると即座に拘束される対象となる
となると「親しい人が死ぬのは嫌だからドロテアを抜ける」なんて呑気なことを言える立場には無い
もちろんマーリヤにとってはそんな組織の論理なんて関係なく、自身の葛藤に気を取られて周囲が見えないのも当然と言える
ただ、フリーの立場としては説得に感情や目的、仲間との絆を語り聞かせるのは大事だけど、
組織としての考えも描写してくれないとただの「お友達ごっこ」みたいな甘っちょろさばかり目についてしまう
せめてフリーが酒を飲んでいるときに局長とのそういった会話を回想してみせるとかあれば……

ハードな世界観なのに、やけにヒロインには甘い展開ばかりなのはどうなんだろう?と
未だに「災いの子」と呼ばれた経緯や村で爪弾きにされたような描写も無いのもファッショントラウマみたいな上っ面感が漂ってしまう
回想が多い割に村での境遇が描かれないせいで、災いの子ってのもヴェロニカに執着するのもどことなく上滑りしてる
「世界はマーリヤに厳しいけど、仲間の優しさが守ってくれる」みたいなのを表現するにはマーリヤ自身の苦境の描写が薄いな、と

今後の伏線については素直に楽しみ
列車襲撃によって、自身に向いていた反乱の疑いを逸しつつフラタニルを入手したディーゼと、戦争準備を進めるビーヴィーの動きはワクワクする
恐らくそれを阻止するためだろう親書を託すレイ・ドーンや動きが活発になったウルフランらアーケイムも次で何かしてくれそう

あとは純粋に悪い点
以前にも言ったけど挿入歌が本当に要らない
普段は使い回しのインストなのに突然挿入歌が入ってこられても笑うしかない
戦闘中のハードな曲はまだ問題ないんだけど、今回みたいなしっとりした展開にボーカル曲をいきなり出されても困惑してしまう
「一話につき一曲音楽を売りつけるノルマでもあるの?」みたいなやっつけ感すらある
挿入歌は、全編ボーカルのアニメでも無い限りは「物語の大きな山場」を演出するためのものでないと効果が薄い
それを、本作みたいに「大事なシーンはとりあえず全部ボーカル入れる」みたいなことをされると
「あ、ここで泣けってこと?はいはい泣く泣くー」みたいに受け取ってしまうし、白けてくる
こう言っては悪いが、最近はボーカルが流れるたびに失笑してしまい、画面のストーリーが頭に入らなくなってきている
BGMが邪魔で何度も見直すのはいい加減不毛すぎる
音楽集団を名乗るくせに音楽を効果的に使う方法を理解してないの?という感じ
曲単体でいくら良くても、やってることはあくまでもアニメの演出の一環なわけで、雰囲気を崩すような曲を流すくらいなら全編BGM無しでいい
だんだん不快になってきたので音楽の評価を更に下げておいた

次回は戦争が始まりそうで結構楽しみ
シナリオはどうせ1クール時点では尻すぼみで終わるだろうし、
せめて画面で市街地戦を行って、派手で分かりやすいバトルをしてくれると良いかな
{/netabare}


11話視聴
{netabare}いよいよハイブランツ公の反乱が始まり、ビーヴィー・ネイン局長・フリーが妖精武器を持ち戦争に突入、と盛り上がりのピーク…のはず
なのにその実態は、描写の大半が陽動で戦闘も散発的なために状況から読み取れる緊迫感が画面から感じられないガッカリ感のほうが強かった
オマケに「カッコつけたいだけのシーン」のために局長が人外じみた動きをするために、リアル調の雰囲気が逆に損なわれてしまっている

これまでの事件がハイブランツ公の思惑によるもので、暴走事件により戦力となる人工妖精を削ぎ、
妖精武器フラタニルを襲撃によって所在不明にしつつ奪うという計画的な動きがこの回で明言される
この辺は今まで見ていた視聴者への答え合わせでしかないからとくに言うことはないかな、くらい
そこから局長がアリアドラを持ち出し戦場に向かうまでは普通にワクワクした

ただ、これ以降の展開があまりにも酷くて正直視聴を止めるか迷ったレベル

ハイブランツ側はアーケイムから供与された人工妖精を防衛戦力に公都ハプシュタットに立て籠もっている
そこに局長が参戦し、妖精武器を手に敵を薙ぎ払っていく…とそれ自体は構わない
ただ、局長の動きがあまりにもあんまりじゃないかと
七騎士とも呼ばれるだけあって人工妖精がいくらいようが障害にならない、というのは分かる
妖精の天敵である妖精武器であれば(なんで装甲を切れるかは謎だが)人工妖精を簡単に切り裂ける、というのも妖精武器の強さを端的に示していて面白い
ただ、それと銃撃の中を単騎突撃できることは別だろうと
「単騎であることを活かして敵陣地に潜入、撹乱して同士討ちを誘って銃を封じる」、とかなら分かる
でも「単騎で突撃して銃弾は一切当たらず敵をとにかく薙ぎ払う」なんてどこの無双ゲーかと
ここまで散々陰謀だの動員戦力数だの地に足ついた会話をしておいて、戦闘になったら途端に作品が変わったように無双されるとむしろ白ける
しかも敵のど真ん中で一人きりなのに、人工妖精の操縦者一人潰しただけで
「投降しろ!→全員投降」はあまりにもお粗末すぎないか?なんで銃を全員捨てるんだと
「局長カッコイー!デキる女ー!」やりたいだけで展開を考える力が無さすぎじゃないかと

そこから場面が変わり首都防衛戦
市街地を進行するビーヴィー一行は各所に陽動部隊を配置して宮殿を目指す
ドロテアは局長ら不在のため、実働隊員が査察から帰還した4名しかいないなか防衛戦に参戦することになる
ここで何より気になったのがフリーの持つベロスティール
局長と同じく人工妖精に覿面のためバッサバッサと薙ぎ倒す…んだけど、やっぱなんかこう舐めプ感がある動きをするなあ、と
というか敵が陽動部隊の人工妖精少数のため、イマイチ妖精武器を持ち出したことへのインパクトが無いというか
腰に帯びたベロスティールを見た瞬間は「どんな見せ場が待ってるんだろう…?」とワクワクしたのに、やったことは雑魚処理一戦だけ
そんな一回ぽっちの前哨戦で早々と披露した挙げ句、「ベロスティールだ!すごい!」って適当に持ち上げられても肩透かしにしかならない
結局ベロスティールに関しては見せ場なし、ビーヴィーに関してはただの口笛おじさんにジョブチェンジして11話終了という消化不良

というかこの脚本、執拗なまでに盛り上がりを外すことばかりに力を注いでいるんだけどなにを考えているんだろう……
レイ・ドーンの親書が間に合わず反乱を許してしまう、という展開自体に不満があるわけではない
ただ、その流れと以降の展開に対して1ミリも親書が役に立たない死に設定同然になっているのが問題
「レイ・ドーンはじつはいい人なんだよ~」をやりたいんだろうけど、これじゃあまりにも遅きに失した感が強くて無能にしか思えない
加えて今回の反乱全体
ハイブランツ公領の独立→鎮圧戦(陽動)
首都市街地襲撃(陽動)
宮殿東門・西門襲撃(陽動)
宮殿大天門襲撃(本命、12話に続く)
と起こった戦闘の大半が陽動で、規模も散発的なレベルで練度が低い
戦略的な意味で言えば防衛戦力を段階的に削ぎつつ本命への攻撃を確実にする、と面白いし理解できる行動をとっている
ただ、アニメ的な意味で言えば今回は1クール最終話直前の一番の盛り上がりなわけで、そんななかで地味な陽動ばかり描写してどうするんだ?と
これが6話くらいで、ここから盛り上がりをかけていくならワクワク感があるけど、最終回直前でしかも前回が溜め回となるとガッカリ感のほうが強い
2クール目は10月からなのに、1クールをとことん地味なまま盛り上がりを作ろうとしないのは見ていてあまりにもしんどかった

あと、あの口笛おじさん本当にどうにかならないのかな…?
またもや挿入歌に失笑することになるとは思わなかった
ビーヴィーが口笛を吹くシーンを印象的に見せようとしたんだろうけど、そもそも口笛吹くキャラじゃないじゃん?っていう
吹くにしても列車襲撃前の静かなシーンとか、もっとそれらしい場面はあっただろうと
そういう場面的な問題を別にしたとしても、今回の挿入歌が口笛を前提にメロディを作られているせいで、メロディが単調すぎて盛り上がりに欠けている
これはさすがにあんまりだろうと……
そもそも演出として口笛がキャラとも場面とも合わない上に、口笛合わせの音楽のせいで挿入歌まで陳腐になるなんて絶望しか無い
前回はハードな曲は問題ないと評したけど、今回のせいでその評価すら覆ってしまいそう

というわけで今回は前回望んでいた戦闘面のインパクトすら感じられず完全に肩透かしの回だった
次回が恐らく最終話だけど、きっとゼスキア崩壊の雑な鬱エンドを狙ってるんだろうな、と
当初抱いていた期待は完全に地に落ちたので、エガオスイッチを導入して驚きのハッピーエンドを迎える超展開を期待してる
{/netabare}


12話視聴
{netabare}ドロテア組vsビーヴィーの戦闘シーンはこのアニメ通しても最高に面白かった回
一人の強敵を相手に仲間と協力して戦う様子や、あくまで戦乱にこだわるビーヴィーと鎮圧任務に徹するフリーの立場も明確になっていた
正直このくらいの戦闘が中盤にあったならば手放しで褒められる作品になったんじゃないかってくらい見せ場としてよくできていた
11話の口笛おじさんも口笛止めてくれたり、武器を盾にして銃弾を防いだり多少はマシな演出になってくれたのも高評価

ただ、それらを除けばあとはツッコミどころまみれの投げっぱなしエンドという印象
ビーヴィーに殺されたオズを思い、仇を取る思いからも奮起するドロテア一行…という一見熱い展開
ただ、以前も触れたけどオズってアニメ中じゃ無言で酒飲み続けたシーンと、マーリヤの帰り際に挨拶を交わしたシーンしか交流が描かれて無い
そんな人物の仇討ち云々言われても、気持ちはわかるけどなんとなく上滑りしてる感じがしてしまう
言っては悪いがお涙頂戴の安易な舞台装置にすらならないただの踏み台と言った印象で、死んだオズは良いように利用されてるなとすら思う

次いで戦闘シーンでのジェットとの回想
一言で言うと「知らんわ!」
ジェットが大事な戦友なのは2話の回想の時点でわかっているし、そいつから託されたのも分かっている
でも、「前に進め」とかなんとか、作中で描かれていない過去をさも名シーンかのようにフラッシュバックされても唐突な感すらある
描かれていない過去を唐突に戦闘中に振り返って、描かれていない人物との絆がさも力を与えてくれるようなシーンを作るなんて何を考えているのかと
これが中盤なら、この戦闘を経てジェットとの過去を描くなりして掘り下げもできるけど、今回最終話だろうと
掘り下げができないタイミングでよく知らない人物との過去の絆を持ち出されても、見てる側は「いや、そんなシーン知らんし」としか言えない
過去がキチンと描かれているなら間違いなく名シーンになったと確信できる場面なのに、これまでの積み上げが足りなすぎて半端な演出になっている

あとはやはりレイ・ドーンとシュヴァルツ・ディーゼ
レイ・ドーンが妖精武器を持ち出していた事からこの二人が戦うのは予想がついていた
ただ、時系列的にレイ・ドーンがあの場にいるのはかなり無理があるし、そもそも戦闘をアッサリ片付ける意味はあるのか?と
というかせっかく奪ったフラタニルに活躍の機会を与えないのはどう考えても演出として意味がなさすぎるだろうと
「簒奪者を自認するからこそ、皇帝を我がものとしたサイダルの騎士ガーランバトルの所持した武器を使う」みたいな意味合いだろうけど、
そんなオサレ感だすんじゃなく実際的な意味を見せるべきだろうと

あとはなんと言ってもマーリヤ
「戦うのは怖い~」とか独白したかと思えば敵を見れば豹変して「かたきを討たないと~」って……
ビャクレー行って自分を見つめ直した意味あるか?ってくらい情緒不安定にも程がある
あそこで感情に揺さぶられながらも自制心を持つような葛藤を見せれば成長が見えるのに、なぜか1話の頃の感情重視の自分に逆戻り
正直オズが死ぬ前の仕事連呼してた頃のほうがマシだったし、オズの死は成長要素にもならず無駄でしか無い
というか2話で自分が危険なのにウルフランを撃つのを躊躇う性格だったのが、怒りに任せてヘッドショット狙いに行くって滅茶苦茶すぎるだろうと
ヴェロニカに対すること以外成長しないってことですかそうですか……

挿入歌に関しては今回は(目立たないので)言うことなし
口笛おじさんにジョブチェンジすることも無かったので大満足
というか口笛を吹かないなら最初から吹かない方向で統一しろよ、と改めて感じた程度

総評としては「戦闘以外は最終話として落第点」といったところ
3話でアクセルと接触した理由が明かされていないからビーヴィーは生存
ヴェロニカ関連が2クールに回されたのでシュヴァルツ・ディーゼは話の整理のため1クールのうちに死亡
妖精武器の封印が解かれていたのでレイ・ドーンがシュヴァルツ・ディーゼを討ちにいく
戦場が分断していてドラマを作りづらいのでドロテア陣営は全員生存
こういった予想がことごとくそのまま当たってしまう平凡なシナリオだったな、という感じ
とは言え「全部レイ・ドーンがなんとかしてくれました!」みたいなヤケっぱちなエガオノダイカパターンに入るとは思わなかった
ここで皇帝が殺害されてディーゼが倒れて、ゼスキアがさらなる動乱期を迎えるようなハッキリとした「引き」があるとばかり思っていた
まさか2クール目への引きも作らず、無理矢理ハッピーエンドからの朝日を拝んで終了!なんてB級映画みたいなオチになるとは…
展開的には予想を超えず、オチはざっくり纏まるような小ぶりにすぎる最終回だったなあ
{/netabare}


疑問・違和感まとめ
{netabare}とりあえず1クール終了時点で積み上がった疑問等について
シナリオ上に残った今後の謎ではなく、現時点の描写における疑問

妖精兵の身体能力
作中ヴェロニカやネイン局長、ビーヴィーなど人間離れした動きをするキャラが多かった
もちろんアニメだから大げさな動きで魅せるのは大事だけど、「お前もはや妖精いらんやろ!」みたいな動きが多い
連携に特化したヴェロニカはともかく、妖精を出していないネイン局長、別々に戦うビーヴィーに関しては妖精の特異性を霞ませるだけになっているんだが…
「本物の妖精兵は一騎当千と思え」というフリーの台詞は練度のことを指しているのか、この人間離れした動きを指しているのか
仮に妖精兵になると身体能力が上がるならそれはそれで説明が入るべきだろうし、やはり違和感がある

妖精兵のダメージフィードバック
マーリヤはアホほど痛みを感じて、ともすると自分の肉体以上に妖精の痛みに引きずられてしまっている
フリーは気絶こそしないものの、割と敏感に痛みを感じている様子がある
ところが敵になるとマーリヤの妖精が直接体を燃やすような大きな損傷を受けないと痛みを見せない
我慢してるだけ?キャラによってそのあたりにバラツキがありすぎる
マーリヤに関しては妖精憑きのため、直接人間に取り憑いた分敏感なのかな?とも思うが、他については説明がつかない
演出面で戦闘バランスをとって勝敗を決めるためのファッション要素かな?

兵器運用
大戦時代のレドラット王国では大砲を使っていたにもかかわらず、統一後はハプシュタット鎮圧でも首都防衛でも大砲は使われなかった
それどころか爆弾も敵専用の兵器となっており、いくら平和とはいえ兵器運用のノウハウが10年足らずで衰え過ぎかな、と
新型人工妖精を開発する程度には兵器開発にも力を注いでいるはずなのに、その様子が見えず傭兵団にも劣るのはどうなんだろう
兵士の質は(ありえないレベルとはいえ)練度の差と思えば見ないふりもできるけど、兵器については明らかにおかしい

その他技術
車が蒸気を上げていたところを見るに、電気技術は発達していないと思われる
ではこの時代の通信技術は何が用いられているのか?
フリーらがカルオーの査察を行っているタイミングとシュヴァルツ・ディーゼがハプシュタットにいるタイミングがほぼ同時期
その後レイ・ドーンから親書を預かり帰還、というタイミングでハイブランツの反乱が発生する
いつ、どうやって首都ロンダキアはそれを察知した?
統一ゼスキアはもともと小国をまとめて出来上がった
もとがいかに小国とはいえ、各公都と帝国首都との距離は日本の尺度で県を跨ぐような距離では済まないはず
まして技術の拙い時代の移動手段では情報伝達にかなりの時間がかかる
そういう諸々を説明できる要素がないまま反乱~鎮圧までが終了してしまった
レイ・ドーンについても、フリーらが帰途についたあとに妖精武器を持ち出し、列車に乗り首都に向かうなど時間的に可能なのか?
反乱を起こす日時が予めウルフランから伝わっていたとしても、あのタイミングで首都に到着するには障害が多すぎる気がする

各回想について
各話に回想を入れることで過去に起こった出来事が断片的に分かるようになっている
実際、フリーとウルフランについては「現在所属する組織に入った動機」はともかく、「どのような事件を経て今に至るのか」は分かってきた
ただ、マーリヤとヴェロニカについては正直分からないことしかない
もちろん2クール目にて描かれるはずだけど、それにしても不足する描写は多い
災いの子とはなにか?どのような扱いを受けたのか?ヴェロニカはそれをどうして受け入れたのか?
逃げ延びたあとのマーリヤはどこでビャクレーとの伝手を得たのか?
ビャクレーは違法行為をしないと自認しながらなぜグイ・カーリンにコネがあるのか?
逃げ延びたあとのヴェロニカはどこで服を揃え、どこで銃を調達し、どうして釈放されたのか?
わからないまま「私は災の子」だの「全部奪われた」だの言われても……と思っていたら、そのまま1クール終わって呆然としてる
ヴェロニカについては2クールにて明かされるだろうけど、マーリヤは説明した気になって放置されそう
そしてなによりビター・スウィート
黒の妖精書を集める理由なんだろうけど、なんで意味もなく過去の父親との会話を回想した?
あれについては全話数のどこにもつながらないまま宙に浮いているんだけど、どうしてCパートに入れた?
あのシーンをドロテアの突入準備を描く時間に当ててくれればと未だに思わずにはいられない

フラタニルの存在価値
結局活躍しないまま終わったフラタニルは、(シュヴァルツ・ディーゼの作戦はともかく)アニメ的にはどうしたかったのか?
12話視聴の感想にてその考察はしたものの、やはり意味は薄い…というか最終話の演出として不十分すぎる
「レイ・ドーンすげえ!」をやるためにフラタニルを出したのかもだけど、その場合列車襲撃にてフリーがボロ負けしたため効果が小さい
というかあの列車襲撃時点でフラタニルを使った理由全く無かったのはどういうこと?
最終話にてフリーがヴェロスティールを持ってビーヴィーと渡り合っていたけど、ならやはり普段の双剣で良かったんじゃないの?
ヴェロスティールと妖精が対峙したのは上に駆け上がってひと刺ししたところだけ
しかもビーヴィーには痛痒すら感じさせられていないまま、あとはビーヴィー相手に切り合いをしただけ
フラタニルは負け戦専用兵器ってこと?完全に存在価値が無いんだけど…
オズを殺すために事件を用意したい、で適当にフラタニルを表に出したものの、結局脚本で扱いきれず持て余した感が大きい
あるいはこれも(最後ブツ切りだったから)2クール目にてレイ・ドーンが持ち出したりするのか?
一応そのパターンでも色々想像はできるけど、その場合フラタニルに見せ場がないままキーアイテムになるのは半端すぎるかなと
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

気長にいきまっしょい

オリジナルアニメ。分割2クールの前半12話分。


24年前勃発の“統一戦争”が終結し10年後の世界。リアルでも新兵器が戦術の発展に寄与してきた歴史がありますが、こちらの世界でそれに該当するのが「妖精の力を宿した妖精兵」なる人体兵器とのことです。
戦争が終わればコストのかかる兵器は適切な量を維持したまま徹底した保管管理が求められます。ご多分に漏れず平和な世界での妖精兵はいろいろストッパーがかけられてました。人が兵器であるということからも帰還兵のPTSDやら退役軍人の再就職などの問題も絡んできそう。ここらへんを期待しての視聴開始です。
ざっくり感想でいえば、ファンタジー世界ながらある程度、“大戦後10年経過した世界”に相応の説得力は感じられる仕様にはなっておりました。


そして世界観と設定。これは作りこまれてるのではないかと思います。
妖精は意思を持つとかスタンドアローンで何かするという描写が今のところはなく、宿主のスキルといった扱い。個々に名前や性能の違いもある模様。
このテの戦記ものはキャラが無限増殖する傾向にあって覚えきれないものです。地勢や諸国間の力関係であったり、登場人物の相関などは12話終わった時点では残念ながらふわっとしています。

P.A.WORKS製作とあって作画は期待通りで、音楽もかっこいい。
が、実は序盤の戦闘シーンの劇伴が自分にはしっくりきませんでした。エッジ利かせたギターのリフなんてめちゃくちゃ好みなんですけどね。これってどういうことかというと、実写映画『ワイルド・スピード』のカーバトルやってる時のノリの音なんです。本作に於いては、場を固定した剣でのつばぜり合いをやってる画と時速○○km/hの疾走感を強調したい音とが喧嘩している感じ。
しっくりこないのは劇伴だけではなく、後半の戦闘シーンでもなんかへんなところがありました。{netabare}例えば第11話の無能な衛兵隊。いくらなんでもゆっくり歩いてる相手には一発くらいあてなさいよ。{/netabare}
バトル作画は自分的にはOKです。そしてこの作品はおそらく人間ドラマで魅せたい作品なんだろうな、今後そんな展開してくんだろうなと思ってます。


分割2クールという形を取っており、あにこれではいったん区切るルールのようですので暫定でも『観終わった』にせざるを得ないのですが、まだ評価する段階ではないでしょう。今言えることは後半も観るつもりだということでしょうか。まだ途中ながら、完結してから一気に鑑賞するのに適しているかもしれません。前半が冗長気味です。
というのも12話終了時点で、何が起こっているかの説明はあります。しかし誰が何をしようとしているのかの説明が薄い。行動原理が不明なため人名や組織名・国名が覚えられません。だいたい理由や背景と相関づけて覚えますからね。
このへんはベテランラノベ作家ながらシリーズ構成・脚本は初という十文字青氏の経験不足によるものかもしれません。3か月期間をおいての巻き返しに期待します。


ここまで苦言めいたことを述べてきましたが全体の印象は真逆で、はっきりいって世界観は好物ですし、シリアスではNGと思われるご都合過ぎる展開も抑えめです。萌え抜きキャラデザインも見てて安心感があり、OPEDも作品世界にマッチし、しかもかっこいいです。
繰り返しになりますが、行動原理の説明がないことが致命的なだけです(笑) 
妖精兵は一騎当千の設定ですのであまり場面はないのですがモブをなぎ倒す“妖精兵”“七騎士”の無双ぶりなど、横山光輝『三国志』の橋の上の趙雲が好きな人とかには合ってそう。

とりあえず様子見。あとは後半に向けての自分用メモ



■いろいろ整理する時
登場人物多めの作品でメモること二点
・時系列おさえとく
 →統歴○○年と出てたのは親切でした
・人は所属組織と国で覚えとく
 →ドロテアの人は最低限覚えられるはず
・あわよくば国の位置関係
 →これはちょっとわからんかった
※あとはフリーとウルフの元同僚組、マーリヤとヴェロニカの幼馴染組を注視しとく


■登場人物一覧

{netabare}マーリヤ・ノエル(CV市ノ瀬加那)妖精に関連する事件を捜査・鎮圧する違法妖精取締機関「ドロテア」に配属されたばかりの新入隊員。所有する妖精は、「アッシュクラッド」
フリー・アンダーバー(CV前野智昭)「ドロテア」第一部隊隊長代理。所有する妖精は、「レッドフッド」
ヴェロニカ・ソーン(CV福原綾香)マーリヤと同郷の暗殺者。所有する妖精は、「ブラッドドーター」
ウルフラン・ロウ(CV細谷佳正)フリーの元同僚のテロリスト。所有する妖精は、「フィッチャー」
[ドロテア]
クラーラ・キセナリア(CV諏訪彩花)「ドロテア」第一部隊隊員。所有する妖精は、「トメリーズ」
セルジュ・トーヴァ(CV中島ヨシキ)「ドロテア」第一部隊隊員。所有する妖精は、「ブリンツテイル」
ネイン・アウラー(CV園崎未恵)「ドロテア」局長 兼 第一部隊隊長。所有する妖精は、「モルズニーク」
リリー・ハイネマン(CV種﨑敦美)「ドロテア」第三部隊隊長。
ロバート・チェイス(CV沖野晃司)
オズ・メア(CV間宮康弘)所有する妖精は、「エアレー」
[妖精学者]
ダミアン・カルメ(CV子安武人)
カイン・ディスタロル(CV麦人)
[マフィア]
アクセル・ラブー(CV川田紳司)所有する妖精は、「ピリーウィギン」
“スウィーティー”ビター・スウィート(CV寿美菜子)所有する妖精は、「スクライカー」
[統一ゼスキア]
マルコ・ベルウッド(CV大塚芳忠)
グリフ・マーサー(CV津田健次郎)
レイ・ドーン(CV津田英三)所有する妖精は、「スローンテイカー」
[その他]
エレノア・ニード(CV小松未可子)
パトリシア・パール(CV井口裕香)
ジョナサン・パスピエール(CV興津和幸)
ビーヴィー・リスカー(CV江川央生)
ソフィー(CV伊藤静)
シュヴァルツ・ディーゼ(CV土師孝也)
ジェット・グレイヴ(CV東地宏樹)
ユアン・ブリーズ(CV乃村健次)所有する妖精は、「ノルカ」{/netabare}



視聴時期:2019年4月~2019年6月

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2020.02.05 追記

2クール完走後追記。3か月空くと全く分からなくなる恐れあり。


2019.06.29 初稿
2020.02.05 追記
2020.07.27 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 50

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

かつて妖精は兵器だった

序盤 あれどっかで

中盤 なんかなぁ

終盤 おお

この話は妖精を兵器として使った戦争の後の話
ジャンルは戦争・バトル・妖精・ファンタジー
妖精らしい妖精はあまり出てきません。サブタイトルがかっこよすぎです。「かつて妖精は兵器だった」これは私の好きな展開になるのでは?と思ったら...
まぁ期待外れもいいとこですよ。確かに妖精は出てきますが、基本は「終戦後の微妙な緊張感やまだ終わらない闘い」をメインに描いたものでした。荒廃した都市で何を考えるのか、とかではなく現時点で起こっている問題を解決する、いわば警察みたいなことをしている主人公たちです。そして肝心な妖精がどっかで見たことあるような感じです。そのうち「ザ・ワールド!」とか叫びそうですねw
しかし、この作品だって褒めるとこはあります。世界背景(設定)は好きです。荒廃した都市は出てきませんが、戦争の残骸は出てきます。それを見て何を感じるのか、何を思い出すのか。
そして主人公たちの考え方が面白いです。ある少女は周りがどんどん死ぬことを「私が不幸な人間のせいで」、と捉えた。ある男は自分だけが助かって生き残ることを「自分が幸運のおかげ」と捉えた。同じことのはずなのに、こんなにも見方が変えれるのはかなり面白いですよね。男のほうは冷酷な奴なのか、と言われればそれは違いますね。彼は彼なりに言い訳を作って逃れてるだけなのです。その受け入れがたい、直視できない現実から目を背け、理由をつくり自分を保とうとしてるだけなのです。これは人間模様がでますよね。そういうとこも確認しながら視聴を。

監督は鈴木健一さん。はたらく細胞の監督をされた方ですね
シリーズ構成は十文字青さん。テレビアニメのシリーズ構成は初だそうです
キャラデザは清水貴子さん。ジョジョや創聖のアクエリオンEVOLのキャラデザをされた方ですね
劇伴は(K)NoW_NAMEさん。灰と幻想のグリムガルの劇伴やopedを担当した方たちですね
アニメ制作はP.A.WORKSさん。安心安全の会社ですね

作画は普通。妖精は3DCGでしたがその他は丁寧でしたし、妖精のモデルも丁寧な印象でした。戦闘シーンも細かく良かったです
opは(K)NoW_NAMEさんの「KNOCK on the CORE」結構好きです
edもおなじく(K)NoW_NAMEさんの「STILL STANDING」
声優さんは市ノ瀬加那さんをはじめとする前野智昭さんや細谷佳正さんなどの演技が良かったです。役にあっているなと感じました

総合評価 まぁテーマ負けかな。でも面白くないわけではない

投稿 : 2024/12/21
♥ : 15

55.6 6 テクノロジーで戦争なアニメランキング6位
白銀の意思 アルジェヴォルン(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (304)
1590人が棚に入れました
アランダス連合王国とインゲルミア諸国統合体。長きに渡る二国間の戦争は、アランダス建国以来の不抜の城塞、グレート・ウォールを挟んで膠着していた。
しかし、固く閉ざされていたはずの砦の門が音を立てて開かれ、戦況は大きく動き始める。

アランダス東方山地の隠し砦に駐屯する独立第八部隊。そこには初陣を控えた新兵、ススム・トキムネの姿があった。
命令に従い、サモンジ・ウキョウ中尉の指揮の下、本隊と合流すべく移動を始めた彼らは、民間人を襲撃するインゲルミア軍と遭遇する。
罠の可能性を顧みず先行したトキムネは、トレーラーに乗っていた技師、ジェイミー・ハザフォード、そして白銀のトレイルクリーガー・アルジェヴォルンと運命の出会いを果たす。

戦うことが当たり前となった世界の片隅で起きた出会い。この小さな偶然は、トキムネたち独立第八部隊の未来を変えると同時に、戦局に大きな影響を与えることになる――。

声優・キャラクター
逢坂良太、大西沙織、土田大、大原さやか、櫻井浩美、浜田賢二、手塚秀彰、赤﨑千夏、橋本ちなみ、愛美、櫻井孝宏、速水奨、葉山いくみ、松本忍、千葉進歩、吉野裕行、小林裕介、山本格、興津和幸、近藤孝行
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

運命という戦況に、白銀の意思は、如何に抗うか?

ミリタリーテイストが強めの単純ロボットバトル系とみせかけて
実は人間ドラマ重視で人物描写が巧み、メッセージ性も強く、
よく噛みしめるほど旨味が感じられる味わい深い作品。
(第1話で違和感でもなんでもいいからなんか気になる要素を
興味として見出せるか否かで本作に対する好き嫌いが分かれると推測)

オマージュに満ちているがそのオマージュが上手く生きており、
ロボット系作品を見尽くして、もうロボットバトルはお腹一杯
という印象を持っている自分にはかなりのストライク作品だったかも。
逆に言うとロボットバトルに期待する人には・・・

登場キャラのそれぞれの思い、政治的思惑、運命が
戦場という舞台装置の上で交錯する、多元重層ワールド。
夢、友情、裏切り、郷土愛、復讐、後悔、信念、命、生きがい
視聴する側の感受性次第でいろいろなテーマを見出せるのが本作の魅力。

航空戦力がないとか、主人公サイドの分が悪い戦況とか
いろいろな細かい設定が見事に嵌まっている印象を受けた。

少しヘタレな主人公と葛藤に溢れた物語が好きな人には結構お奨め。
{netabare} ヘタレ系主人公にある種の嫌悪感を感じるのも王道的設定のひとつ。{/netabare}

個人的には機動戦士ガンダムの正統な後継者の地位を与えたいくらいに完成度は高いと評価する。
(完成度が高い=一般的に楽しめる、ということでないのであしからず)

一般論で言うならば、見る前から偏見をもって作品に触れるのは望ましくないのだが
本作に限って言わせて貰うなら、本作の真の主人公はナンジョウという名の
テストパイロットであるかもしれないという仮説、
それを是非とも念頭において見て貰いたく願うものである。

☆以下は内容に更に踏み込んだ感想等々につき閲覧注意!
{netabare}印象的に描かれてた握手にはどんな意味があったのか考えてみた。
手と手を繋ぎ、人と人を繋ぎ、人の温かさや思いを繋ぐ。
人間関係と因果関係の繋がり、過去と現在と未来の繋がりがなかなか上手い
という印象を本作に持った故の邪推にすぎないが。

NRシンドロームそれ自体が厄介な病であるのだが、その影響を間接的に受けた
サモンジ隊長もNRシンドロームの最大にして最重度の被害者、感染者であるように思えた。
NRシンドロームというよりそれに基づくトラウマ体験。
それが彼の心に重くのしかかり、自虐的で破滅的な道を歩ませることになる。

頭脳明晰で元帥に成り得る器のエリート軍人であったサモンジウキョウは
型破りの軍人ナンジョウレイカとめぐりあい…考え方が360度引っくり返る。
180度はナンジョウレイカの情熱や思いに触れたことにより、
そこからの180度は実験の失敗と何も出来なかった自分への後悔の念により。

かくして彼は、軍律命令より部下の命を重んじ、自分の保身のために
平気で部下を見殺しにする上官はぶん殴るエリート街道から転落した男になり
その一方でトラウマ体験が、生来皮肉屋だった彼をよりいっそう皮肉屋にする。

しかし皮肉な運命は、皮肉な男が最も望まない形で廻り続け、めぐりめぐって
再びめぐりあう・・・
実験失敗に終わった機体の後継機と実験機のパイロットであった彼女の実の弟。

指揮官は重大な決断をしなければならない、部隊を全滅させないためにも。
新型機体アルジェボルンを有効に活用することは状況的に見てベストな選択
だったのだろう。
軍人として、部隊を預かる指揮官として・・・
指揮官は部下をコマのように扱うのだが、一人の人間として考えた時
その決断が誤りだったと彼には思えたのかもしれない。
上官に鉄拳制裁を加えたように自分自身にも制裁を加えるべきではないのか?
皮肉な運命も、自分のケジメつけろと彼を促しているようであった。
だからこそ、死にたがりの男を射殺するのは、まさに「慈悲」以外の何者でもなく
サモンジ同様に皮肉屋で切れ者であるカイエン准将の本質をついた言葉に
微笑で応えるサモンジの姿がとても印象的だった。
{/netabare}

☆本作の内容を理解する上で重要なのが設定
{netabare}恐らく製作者が描きたかったことは従来型のロボットバトルでも、リアルな戦争でもないのだろう。
はっきり言って主人公が搭乗する新型ロボが、戦闘シーンで活躍したことはほとんど印象にないというか
戦闘に勝利したシーンがほとんど描かれていない。
省略されたり、主人公の機体がいろいろと間に合わなくて、隊長が事前に仕掛けた爆弾を
強行爆破させる命令を下すシーンが何度かあったり。
機体が動かず中に閉じ込められてた主人公を民間人のヒロインが徒歩で救出に向かうとか・・・
敵の新型とライバル同士で激しいロボットアクション的対決が始まったかと思ったら
耳をつんざくような唸り声や奇声をお互いに発しているだけで、その状況を見守っている人が唖然としてる状況をただ描写してるとか・・・

結局これはどういうことなのかと言えば、確かに戦争の話なのだが
戦争は戦争でも負け戦に特化した物語ということがミソ。
第1話で軍事的重要拠点グレート・ウォールが陥落し、降伏しか選択肢が無いことが
早くも確定してしまったところが物語の始まりなのである。
だから今更新型の機体を手に入れその性能を存分に生かして局地戦に連勝したところで
戦争の大局にはほとんど影響がないのだ。
局地戦に何度勝っても、和平交渉の時期や条件がやや変わるくらいで
勝利をもぎ取ることができないという設定が確定している。

負け戦の撤退戦をいかに上手くこなし、いかに生き延びるかということがむしろメイン。
そしてもう一つ重要な要素は、将官たち率いる司令部は既に瓦解しているということ。
本作の終盤でカイエン准将の謀反により敵と通じていた和平派の将官は粛清されのだが
ある意味、第1話で既に司令部は有名無実となり、戦争を遂行する上では
何の役にも立たない存在になってしまっている。
司令部はグレート・ウォールを死守せよとの命令を下したのだが
この戦力差ではとても荒唐無稽で無茶苦茶な命令であり、
少しでも「センス」のある戦人ならばそれがどれ程無意味なことか言うに及ばず。
戦力を建て直し反撃の期を窺うために一時的に戦略的撤退すると称し
拠点は即時明け渡すのが妥当な考えであるはずなのだ。
勝ち目の無い戦争の局地戦で勝ち目の無い戦いを挑んで全滅ではただの無駄死に。
こういう特殊な状況下ではお偉いさんの命令を無視してでも、現場の判断で
臨機応変に戦術を駆使してなんとか生き延びる選択肢を選ぶ方が賢いはず。

例えば「死亡フラグ」を回避するためにも・・・{/netabare}

☆ロボット系作品と見せかけて単体のロボット戦はどうでもよかったりとか・・・
{netabare}戦術論についての一定の理解を暗黙の了解として視聴者に求めるとか・・・
思えばいろいろと敷居が高い作品なのかもしれない。
敵味方を問わず登場キャラが発する言葉をすべて聞き逃さず、何を言わんとしてるか
把握できないと現状と今後の展開が理解できないかもしれないという少し厄介な要素があるようにも思える。
もしかしたら第1話が一番理解するのが難しいと言えるかも。
重要拠点であるグレート・ウォールの攻防戦の不利な情勢に怖気づき尻尾を巻いて逃げていく
将官たちの姿から将来的敗戦が確定したことを読み取らなければならなかったり。
主人公の命令違反は問題にならないどころか、実は隊長も主人公と同じ結論を
出そうとしていた可能性を読み取らなければならなかったりとか。
主人公の命令違反よりもより深刻なのはイズミ大佐の命令違反の方なのだが
それが問題にならない理由も状況から読み取らなければならなかったりとか。
(イズミ大佐により「生きて不退の大門に戻れ」と全軍に送られた指示は
将官が「死守」せよ発した命令に明らかに違反する)
推理小説というわけでもないのに一々引っかかった発言などを覚えておかな
ければならないというある種の煩わしさが付きまとう。
イズミ大佐の命によりグレート・ウォール守備隊は速やかに降伏。
それにより敵方のインゲルミア軍は多勢に無勢の掃討作戦に移行するのが戦術の定石。
なのだが、そもそも守備本隊とは別行動の独立第8部隊の近くに掃討戦を行う敵主力がいるわけもなく
もし運悪く敵主力と遭遇したらあっという間に取り囲まれて一巻の終りなのは当然。
(それを熟知してるからこそ独立第8部隊は得意技の先手必勝で逃げまくっている「テキパキ!」と)
掃討戦というものは圧倒的に戦力的優勢の状況で行われるものなので
百歩譲って陽動作戦が必要?だとしてもわざわざ民間人に偽装する意味がない。
いずれにしても、掃討戦を展開してる大部隊が近くにいるのなら独立第8部隊の目利きの偵察が
事前に察知しているはずなので、副隊長と軍曹が話していたような非常に消極的慎重論は当てが
外れているとしか言いようがない。
あの状況を総合的に判断すると民間の車両が小部隊の敵に襲撃されているのは間違いなく。
自国の領土内で民間人が敵軍に襲撃されているのにも関わらず見捨てるとしたら軍律命令違反以前に
軍隊の存在意義すら否定することになり、部下を見殺しにして逃げた保身の将官と
同じことをやっているオチになるのだ。
迂闊に部隊を危険に晒すような真似はしないのは隊の方針だとしても、
民間人の生命を守るという話では少し事情が異なるはず。
その時、隊長が終始無言で最後まで迷っていたのは、民間人を救出した後の追っ手を
振り切れるかどうかの一点だけだったのかも。
そしてその命令違反のシーンで当の主人公が発していた言葉も押さえておく必要がある。
「わかってるよ、わかってるけど・・・」ついやっちまう性質(たち)らしく。
わかっているはずなのに「どうして俺はいつも・・・」と後悔の繰り返しなのだが、
それこそが未熟者の証という趣旨の描写シーンであろう。

その時の主人公の判断、意思決定自体は間違いではなかった。
直感的「センス」も悪いわけではなくむしろ良いのだが、どうせ命令違反、
いや意思を通したいならイズミ大佐のように「センス」のあるやり方を選んだ方が
「幸せになる」という趣旨の。
そういう意味合いで、先輩パイロットの色男は、撤退戦は「テキパキ」、
「戦場ではセンスが大事」、「幸せになるためのセンスを磨こう」
と未熟な後輩の主人公に助言していたようだ。

負け戦における撤退戦上手、処世術上手の猛者たちが集まる独立第8部隊が
航空戦力がない、ロボット兵器の(対装甲)火力の弱さという設定の中で
生き残るのは意外と簡単なことなのかもしれない。

訓練で2度死ぬも、本戦では死亡フラグを覆したのも、言わば色男の処世術のなせる業なのだろう。
逆に言うと訓練でいくら勝っても本戦で死んだら意味がないということを
主人公に叩き込むために行われたのがあの模擬戦の目的と言えよう。

もし「元帥」になれるなら、きっと色々なことを自分で意思決定し
色々なことを思いのままに変えられるのだろう。
軍政を改革し、腐敗を絶ち、第三国からの介入によって自国を食い物にされるような
惨めな事態も防げるはず。
「元帥」とはある意味勝ち組の象徴であるが、誰もが容易になれるものではない。
世の中の大多数の人は「元帥」にはなれず、意図しない不利な戦を強いられたり
第三者の介入を受け主導権が握れないような戦いを余儀なくされる。
思うようにならない戦況に翻弄され、消耗し、一進一退、時には撤退戦の連続・・・
時に途惑い、時に立ち止まり、戦いの意義を見失い、士気は落ちてゆく。
思うように攻められない形勢不利な戦いを毎日のように繰り返していくうちに
白銀の鎧はどんどん錆びつき、鉛のような重さだけが体に圧し掛かる。
それでも白銀の戦士たちの終り無き戦いは容赦なく続く。
この辛くて果てしない戦いを生き延びるために不可欠なことは死亡フラグを回避すること。

例えば「オープン回線」で仲間に呼びかけてみるとか。
どんな有能な戦士でもすべての問題を単独で解決するのは不可能なことなのだ。

有能な指揮官であるサモンジ隊長が最終的に「連絡将校」という過酷な役目を負わされたのも
恐らくは「オープン回線」を使いこなせるようにと考えたイズミ大佐の配慮であったのかもしれない。

{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 15
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

男の友情ですか? 私には理解できません!

アルジェボルン、わくわくしながら見てましたが、ようやく見終わりました。
特にトキムネ君とジェイミーさん、サモンジ隊長とスズシロさんのお話はドキドキでした。
人間ドラマとしてとても重かったと思います。それにしても戦争って嫌ですね。みんなおかしくなっちゃう。

{netabare}
隊のみんなは結局死者が出ていないので、ハッピーエンドでした。でも、トキムネ君とジェイミーさん、恋人になると思っていたので、ちょっと残念♡
2人はお互い協力してアルジェを動かしていたので、とってもハッピー♡な気分で見ていたんですけど・・・・

このお話で、サモンジ隊長のとった行動がよく理解できませんでした。トキムネ君のお姉さんの亡くなり方が衝撃だったのは分かるのですが、それがあの行動に結びつくのがわからなかったし、友人のイズミ大佐がサモンジさんを止めず、逆に自爆的な行動に理解を示すところがわかりませんでした。

だから、スズシロさんの
「男の友情ですか? 私には理解できません」
というセリフ、私自身、ほんと、そうだよね~っと納得してしまいました。
{/netabare}
個人的には、今年の名セリフだったと思います。

以前のレビューです。

{netabare}
「スズシロさん、素敵♡」2014.12.26 20:53

この作品の題名、あまり見たいって思えないくらい、ネーミングが良くないように思います。
あにこれのみなさんの評価も低いですね。

確かにアルジェヴォルンは内容が重くって、たくさんの戦死者が出るシーンが出て私もちょっとつらいなあと思うシーンもありました。

でも、このお話は世界観がしっかりしていて、人間関係の描き方も悪くないと思います。

主人公のトキムネ君の成長が、物語の中では遅いので、視聴されている皆さんには耐えられないのかな。

私のお気に入りは、ジェイミーさんとスズシロさんです。ジェイミーちゃんは応援したくなります。

スズシロさんは他人に思えない。私と似ているかも(ウソです(^^;)髪型は似てるかも・・・)
スズシロさんの声って、シドニアの騎士の艦長さんですし、あの落ち着いた雰囲気、見習いたい。

トキムネ君も部下ができて成長していくのかな、と思ってたら、また彼に障害が・・・

今後が気になります。

{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 57

PPN さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ハードルを下げ~い(;;´∀`)

敵対する隣国それぞれの思念が渦巻く戦場を
オリジナルストーリーで描いたロボットもの。
2クール、全24話。


視聴の前準備にチラッとあにこれでの評価をチェック。
低いランキングと満足度、酷評の黒い三拍子のおかげか
ハードルを下げて視聴でき、そこそこ楽しめた作品ですw

アランダス連合王国vsインゲルミア諸国統合体
この隣国間で長年に渡り続く戦争をメインに
展開されるストーリー。
それに関わる人々の謀略や苦悩、悲哀が描かれています。

こだわりの見受けられる設定や世界観は面白いものの
全てにおいて地味な感じが否めなかったかなぁ(;´∀`)

まず肝心のロボットが1番地味だものw
性能、バトルシーン、デザインと全くもって派手さなし。
戦争をよりリアルに表現したかったのかも知れないけど
残念ながら個人的には逆効果に終わっちゃいましたね。

ロボットのオーバーなアクションを避けた分
感情が交錯する戦場での人間模様に期待したけど
これもまた地味で中途半端だったなぁ(´∀`;)
観ていてキャラの心情が伝わって来ないシーンが多々。

何よりラストもかなり地味な終わり方だったしねw


でも、良いところもありましたよ!
地味なだけで、決して駄作ではないと思いますw
ストーリーは練られているし、設定や世界観は面白い。
両陣営ともに魅力的なキャラは出てきますし
要所要所に実力のある声優さんが配置されてます。
…ただ…地味なだけ(´∀`;;)


戦場で繰り広げられるヒューマンドラマとしての
視聴ならオススメしても良いのかな。
派手なロボットものが好きな方にはムリかなw
どちらにしてもハードルを下げてご視聴下され(ゝω・)




《キャスト》
ススム・トキムネ(CV.逢坂良太)
ジェイミー・ハザフォード(CV.大西沙織)
サモンジ・ウキョウ(CV.土田大)
スズシロ・サオリ(CV.大原さやか)
シルフィー・アップルトン(CV.櫻井浩美)
ロレンツ・ジュリアーノ(CV.浜田賢二)
ナミエ・ポートマン(CV.内田真礼)
イズミ・シズマ(CV.千葉進歩)
カイエン・トシカズ(CV.小山力也)
ナンジョウ・レイカ(CV.日笠陽子)
シュライン・リヒトフォーヘン(CV.櫻井孝宏)
アーノルド・ホルムス(CV.斧アツシ)
ジュリアス・ユーニオス(CV.速水奨)




《主題歌》
OP
『TOUGH INTENTION』/KOTOKO(第2話~第15話)
『ZoNE-iT』/KOTOKO(第17話~第23話)
ED
『フェイス』/三澤紗千香(第2~第13話)
『Vivid Telepathy』/玉置成実(第14話~第24話)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 44

64.9 7 テクノロジーで戦争なアニメランキング7位
ヴァンドレッド VANDREAD(TVアニメ動画)

2000年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (137)
827人が棚に入れました
我々の住む太陽系から遠く離れた宙域の、とある銀河。そこでは、男性だけの惑星国家「タラーク」と、女性だけの船団国家「メジェール」と呼ばれる種族が長年の間、互いに敵対し、激しい星間戦争を続けていた。
ある日、タラークは士気の高揚と次の戦闘に備えて移民船「イカヅチ」を宇宙戦艦へと改造し、「蛮型撲撃機」と呼ばれる新兵器の模擬演習を兼ねて出撃する。
タラークの下層階級民のヒビキ・トカイ(主人公)はイカヅチにひょんなことから密航していたが、メジェールの海賊船の急襲を受け、戦闘に巻き込まれてしまう。タラークはイカヅチを放棄、自ら撃沈されることを決め、魚雷を発射。そのとき、動力源である『ペークシス・プラグマ』が暴走、海賊船、イカヅチもろともに別の星域に飛ばされてしまう。母星への帰還の旅を始めた彼らだったが、途中謎の敵の急襲を受ける。
そして明らかになる“刈り取り”という暗号作戦による謎の敵の侵攻が開始されているのだ。その危機を知らせるべく、敵対しているハズの男女の呉越同船とも言える融合船・「ニル・ヴァーナ」の母星への帰還の旅が始まるのだった…。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「マクロス愛・おぼ」に対するもう一つの回答 異“性”間コミニュケーション+CGロボットなSFアニメ

フルデジタルアニメーションが珍しかった当時、その映像美を毎週のテレビシリーズで堪能出来るというのは当時のオイラには興奮モノだった
だけど、アニメ全体のクオリティ水準が上がった今改めて観てみると、正直に現代の水準をギリギリクリアできるかな?という程度です;
過度な期待はしないのが良し(ちなみにHD制作ではありません)


この作品の見所は「マクロス愛・おぼ」を髣髴とさせる設定のリバイバルにありまして、往年SFファンにも萌えアニメファンにもお得な内容なのです


それっていうのは男だけが住む星と女だけが住む星が星間戦争してるっていうものなんですね
ほーら、「愛・おぼ」っぽいですよね?
もりたけしさんが監督ってのもあるんでしょうけどね
メカと美少女っていうもりさんの得意分野から上手く捻り出した設定や世界観がGJ


お互いを異星人って思い込んで何十年と戦いの歴史を繰り返してるんですよ、この異“性”人共はw
出てくる女の子達はかなり個性に富んだ面々なのですが、基本は宇宙海賊という職の子達なのでして強気っ子が多めです


そんで彼、彼女らは戦いの最中ワープみたいなのに巻き込まれてしまい見知らぬ星系へ飛ばされてしまうのですね
一つの宇宙船で故郷へ帰るため、一つ屋根の下で共同生活を始める男と女
あまりに互いを知らなすぎるが故に次々起こる(エロい)トラブル


そんなところに突如として正体不明の敵が出現し、乗組員の命が危機に晒される
ピンチを救ったのは男側の兵器と女側の兵器がワープみたいなものの影響を受けて変異し、偶然にも合体して完成したスーパーロボット「ヴァンドレッド」だった


かくして生きて故郷へ帰るため、男と女がいがみ合いながらも手を取り合う、謎と神秘とカルチャーショックに満ちた旅が始まる・・・


物語は全13話で第1期完とされ、そのままセカンドステージへと続いていきます

オイラのオススメはヒロインの一人・・・というよりはもう一人の主人公ともいうべき「メイア」にまつわるエピソード4~6話(通称メイア3部作)


あとサブタイトルにも注目していただきたいですね、あんなに次回は?とワクワクしたサブタイトルは初めてだった

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

JBさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

子安さんの声が頭の中で聞こえた・・・「バカめ!」ってw

チームワークとか人と人との絆などを題材にしたアニメだと感じました。
くだらないプライドを持つ事がどれほど愚かなのかを描いていて
観ていて、「バカめ!」と、某アニメのとある聖剣の台詞が浮かんできましたw
戦闘時におけるチームワークを分かってない言動ばかりで
スタンドプレイの奴等ばっかのくせにスタンドプレイを否定したりで、
ちょとイライラさせられたりもしましたが、物語の設定は面白かったです。
ただ、やっぱり主人公の性格は好きにはなれないな^^;

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1

YOSIMIX さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

二部作の最初にしては色々と物足りない。

ファースト、セカンドの二部作となるこの作品ですが、つか
みとなるファーストは全体像を理解してもらう為のシナリオ
を集約しすぎてしまって、ストーリー展開とキャラ特性など
バランス面がちょっと微妙となっている。
物語そのものや設定は悪くないのだが、折角個性的なキャラ
が多い所を生かし切れず、なんとなくシナリオに合わせて、
そんな感じが少し残念である。

徐々に共同生活の環境に打ち解けていく流れや、戦闘ごとに
シンクロしていき、成長するなどの世界観や設定は面白く、
展開的にも悪くはない。感情を理解するマシーン的な存在や
新しいテクノロジーに対処しつつ、それぞれのポジションを
さりげなく確保していく流れなど、話の進行も悪くはないが
何かが足りない感が抜けないのが惜しい。
とはいうものの、この手のスペー系、戦隊系、ロボット系、
こうしたノリの作品にしては、色々と要素も多く、後半まで
観ずに辞めてしまうには惜しい。二部作なので、セカンドの
存在があることを考えると、今後の改善、この状況から発展
していく様を思えば、なかなか楽しく見ることが出来るとい
うもの。

全体的に観れば、もうすこしと言ったところだが、ある程度
の面白さと次回作への期待を残す作品としては、観る価値は
あるのではないかと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

67.8 8 テクノロジーで戦争なアニメランキング8位
伝説巨神イデオン(TVアニメ動画)

1980年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (121)
525人が棚に入れました
西暦2300年代、地球から惑星ソロへと移民した人々は、第6文明人とされる先住民の遺跡を発掘する。丁度そのころバッフクランという別の地球の調査隊もソロ星(バッフクラン側から見れば、ロゴダウ)に現れる。バッフクランの調査隊に同行した軍事総司令の娘カララは、異性人に対する好奇心から調査隊から離れて見学に向かう。総司令の娘の身に間違いがあってはならぬと、バッフクランの捜索隊は地球人を攻撃し始める。地球人は逃げ惑いながら発掘中の遺跡にあった巨大メカ「イデオン」に乗り込む。するとどうしたことか、今まで全く動かなかった遺跡『イデオン』は地球人の意思とは無関係に動き出す。圧倒的な力を見せ付けられたバッフクランの捜索隊はイデオンに総攻撃を加えるが全滅してしまう。ここから、地球人とバッフクランの『イデ』を巡る戦闘が始まるのである。戦闘は憎しみを増幅しながら、イデオンとソロシップは宇宙への放浪の旅に出て行くのである。

声優・キャラクター
塩屋翼、田中秀幸、戸田恵子、井上瑤、白石冬美、松田辰也、井上和彦、塩沢兼人、佐々木秀樹、よこざわけい子、山田栄子、林一夫、一龍斎春水、石森達幸、加藤精三、木原正二郎、鵜飼るみ子

kochiro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

鬱アニメの原点

この作品をすべてみたらガンダムは子供向けの作品であるということがよくわかります。
個人的にはZガンダムを観るくらいなら、イデオンを観るべきだと思います。

アニメを作って、お金をもらって生きている人がいると理解できる年齢になったときにアニメの見え方も変わります。
視聴者に何を感じてほしいかによって作品が行きつく先が変わるだけではない。理想だけでは作れないという人間臭さを感じた作品です。

この作品の結末が何なのか是非最後まで観てほしいです。
そして、作者がその結末とした理由を考えてほしいです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ガッカリ長編アニメ3~精霊会議というか「幽霊」会議ですね、もはや笑

以前視聴した水島努監督の良作『SHIROBAKO』の中に、「イデポン宮森発動篇」(第6話)というエピソードがあり、その中で“伝説巨大ロボットイデポン”という作品がアニメ業界の人たちの共通の話題になっている描写があって、その元ネタが、本作『伝説巨人イデオン 発動篇』らしい・・・ということを知りました。

そしてその後も、色々な方面から「これはアニメファン必見の名作だ」という声を聞くので、やっぱりキチンと見ておかなきゃイケナイ作品なのかな?と思って、作画や演出の古さを我慢して、TVシリーズそして劇場版へと視聴を続けたのですが・・・

◎劇場版後編(発動篇)視聴終了後の率直な感想

久々に酷い作品を見てしまった(※以前みた『BLOOD-C』より更に数倍酷い・・・)。
シナリオ崩壊というか、もはや物語の体を成していませんね、これは。
死亡したはずの主要キャラが最終回で唐突に復活して、ご都合主義もいいところの意味不明のハッピーエンドを迎えるゴミみたいなアニメ作品を揶揄する言葉として、「精霊会議」という表現をよく聞きますが、本作の場合は、{netabare}“精霊”どころか、文字通りの「“幽霊”会議」{/netabare}で終わっていて、視聴料返せ!!!!と叫びたくなってしまいました。


◎絶賛する意見も多い作品なので、視聴は自己責任で

上記の『SHIROBAKO』に限らず本作を名作と推す意見も強いので、私としては、あくまでバランスを取る意味で「少数意見・感想」として本レビューを挙げておきます。

※追記
すぎやまこういち氏の手になる音楽だけは印象的でした。


◆視聴メモ
{netabare}
・合体ロボットもの!キャララデザもメカデザも凄くレトロでちょっと興味深い。
・クラン clan は「氏族(共通の祖先を持つ一族)」という意味なので、バッフ・クランは「バッフ氏族」という意味になる。
・第14話視聴終了時点
主人公ユウキ・コスモが、『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイと相似した性格と判明(ちょいマザコンぽいところ&結構な気分屋で変に怯えてるかと思うと急にうってかわって激高して凶暴になってしまう点など)。
・第26話視聴終了時点
2クール目ラストのこの回でようやく話が動き出した感じ。
それまで(第15-25話)が余りにも話に進展がなく視聴に難儀してしまったのが残念。
・第39話視聴終了時点
3クール目でようやく盛り上がるかも?と期待したのも束の間、何でもかんでも「イデの力」の発動で片づけるな!とドつきたい気分。
流石にこの終わり方はないだろう・・・ということで、問題の劇場版へ。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作         矢立肇、富野喜幸
総監督        富野喜幸
キャラクターデザイン 湖川友謙
音楽         すぎやまこういち
アニメーション制作  日本サンライズ{/netabare}


◆作品別評価

TVシリーズ(計39話)    × 3.1
劇場版(接触篇・発動篇)  × 2.5
------------------------------------
総合               × 2.9


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============== 伝説巨神イデオン (1980年5月-1981年1月) ============
{netabare}
第1話 復活のイデオン ★ 西暦2300年、殖民星ソロ(異星人文明遺跡)、バッフ・クランとの交戦、イデオン起動
第2話 ニューロピア炎上 ☆ イデの伝説の巨神探索、カララ迷い込み、バッフ・クラン隊壊滅
第3話 激震の大地 ☆ カララ捜索隊侵入・交戦・撤退、巨大宇宙船(第2の遺跡、ソロシップ)出現
第4話 ソロ星脱出せよ ☆ バッフ・クラン隊の巨神合体阻止作戦、反物質エンジン起動
第5話 無限力(むげんちから)・イデ伝説 ★ 亜空間ドライブ、ギジェのカララ救出作戦失敗、イデ(無限エネルギー)の伝説、親和の発生、無条件停戦
第6話 裏切りの白い旗 ☆ 挑戦の合図(白旗)、ダミド隊の攻撃、カーシャの攻撃、停戦の旗、カララの意思
第7話 亜空間脱走 ☆ 見捨てられたカララ、マヤヤ死亡、カララ強制尋問、亜空間での戦闘
第8話 対決・大砂塵 ☆ 恐竜のいる星(ザウルス星)、異星人との決闘、サムライの戦い方
第9話 燃える亜空間 ☆ ガイラ星域クリスタル星到着
第10話 奇襲・バジン作戦 ★ カララの姉ハルル登場、アバデデ死亡
第11話 追撃・遺跡の星 ☆ ルインズ星到着、ハルル指揮部隊の偵察攻撃
第12話 白刃の敵中突破 ★ ハルル&カララ姉妹再会、カララ辱め、ジョーダン・ベスの蛮勇、恋情の発生
第13話 異星人を撃て ☆ アストロベルト(小惑星帯)の戦い、武人グハバ・ゲバ戦死、バンダ・ロッタの恨み
第14話 撃破・ドク戦法 ☆ ブラジラー最前線基地、コスモの怒りと嘆き(カミーユ・ランバンの仇)
第15話 イデオン奪回作戦 ☆ シェリル母船離脱・人質化、コスモ機転、離脱の責を被るカララ ※会話だけで話を進めていて分かり辛い点が駄目×
第16話 必殺のダミド戦法 ☆ 亜空間のハーケン攻撃、ダミド戦死、コスモ&カーシャの命令違反・独房入り 
第17話 激闘・猿人の星 ☆ ギジェ隊のソロシップ追撃、ルーのはしか発病
第18話 アジアンの裏切り ☆ 殖民星アジアン到着、バッフクランのアジアン脅迫、廃墟と化すアジアン星
第19話 ギャムス特攻指令 ☆  
第20話 迫撃・双子の悪魔 ☆ 巨神とソロシップの自己防衛機能(自身の意思の存在?)
第21話 敵戦艦を撃沈せよ ☆ ハルル搭乗艦への襲撃、イデの謎の力
第22話 甦える伝説 × ※総集編(新規シーン僅少で見る必要とくになし)
第23話 戦慄・囮の星 ☆ 殖民星キャラルからの救難信号、ダラム隊の待ち伏せ、小型核爆弾
第24話 潜入ゲリラを叩け ☆ 武器補給難行、ギジェ隊ソロシップ侵入・撃退、私設戦闘部隊?
第25話 逆襲のイデオン ☆ ソロシップ側からの攻撃、コスモ重傷、キッチ死亡、バッフクランの「地球」
第26話 死闘・ゲルの恐怖 ★ 対巨神用新兵器、キッチの幻影、地球へ
第27話 緊迫の月基地潜行 × 流星、ムーンランドへのブッフクラン侵攻、ダラムに見捨てられたギジュ、イデの「無限力」 ※シナリオが分かり辛い
第28話 波導ガンの怒り × 地球連合軍との接触、ダラム隊の猛攻、新兵器 ※シナリオ色々残念
第29話 閃光の剣 ☆ イデオンの新しい力(イデの発現?)
第30話 捨て身の狙撃者 ★ 地球からの救難信号、ガラン艦轟沈、ガラン死亡
第31話 故郷(ふるさと)は燃えて ☆ 地球連合軍のソロシップ&イデオン引き渡し要求、ジョーダン・ベスと両親の再会・決別
第32話 運命の炎のなかで ☆ 地球連合との和解、土星軌道の戦い、ルクク艦隊全滅、太陽系離脱
第33話 ワフト空域の賭け ☆ イデの力発現確定 
第34話 流星おちる果て ☆ 辺境の惑星ドウモウ星の戦い
第35話 暗黒からの浮上 ☆
第36話 さらばソロシップ ☆ ソロシップ廃棄失敗、地球連合艦隊壊滅
第37話 憎しみの植民星 ☆ アジアン星の罠、リン(シェリルの妹)死亡
第38話 宇宙の逃亡者 × バッフクランの「地球」壊滅、ギジェ死亡 ※シナリオ拙劣
第39話 コスモスに君と × カララと父ドバ・アジバ(バッフ・クラン宇宙軍総司令)との再会・脱出、イデの力発動 ※シナリオ支離滅裂でこれは流石に酷過ぎる {/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)6、☆(並回)28、×(疑問回)5 ※個人評価 × 3.1

OP 「復活のイデオン」
ED 「コスモスと君に」


============== 劇場版 伝説巨神イデオン (1981年7月) ============

接触篇 ☆ {netabare}TVシリーズ中盤までの総集編{/netabare} ※1時間24分
発動篇 × {netabare}TVシリーズ終盤~結末だが、ラストが余りにも安易でシナリオ崩壊している{/netabare} ※1時間38分
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)0、☆(並回)1、×(疑問回)1 ※個人評価 × 2.5

主題歌(接触篇) 「セーリング・フライ」
主題歌(発動篇) 「海に陽に」

投稿 : 2024/12/21
♥ : 15
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

エンディング曲は物語そのもの

正直な話、この物語は人にはお勧めできません。
でも、エンディング曲「コスモスに君と」
これだけは、胸を張って多くの人にお勧めできます。

壮大な宇宙のなかで、切なさを感じる歌詞と美しい曲です。
作詞は井荻麟さんです。
作曲はドラクエで有名なすぎやまこういちさんです。
歌手はアンパンマンでおなじみの戸田恵子さんです。

この歌を一度聴いてみてください。
きっと感動されると思います。

実は、作詞者の「井荻麟」は監督である富野喜幸さんのペンネームでした。
歌詞を知ってられる方は納得されると思いますが、あまりにも悲しすぎる内容です。

そしてこの歌詞が、伝説巨神イデオンの物語そのものなのです。
私が冒頭で、「物語はお勧めできません」といった理由の一つがこれです。

{netabare}
たった一つの星(地球)に見捨てられた主人公たちが、
絶望ともいえる逃避行をし続ける物語であり、
一人、また一人と、仲間の命が尽きていく内容です。

特に歌詞の二番目は、愛する人には絶対に告げることが無い言葉が含まれています。
この物語では、それほどまでに地球人と異星人とのカップルが追い詰められています。

  別れてみたら きっと楽だよ
  すり減らす日々 君はいらない
  おもいやり ふと あげてみる
  涙がかれた 乾いた肌に

歌手の戸田恵子さんは、地球人の子を身ごもった異星人の役(声優)もされていました。
だから、この部分は特に、重く心に響いてきます。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 25

67.6 9 テクノロジーで戦争なアニメランキング9位
赤い光弾ジリオン(TVアニメ動画)

1987年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (35)
199人が棚に入れました
西暦2387年、「第二の地球」と呼ばれた植民惑星マリスで暮らす人類は、凶悪な宇宙の侵略者ノーザ星人の侵攻により危機に陥っていた。人類の兵器ではノーザ星人の装甲に歯が立たず、火力でも圧倒され、人類の滅亡は時間の問題だった。そのとき、未知の超文明から3丁の銃が人類にもたらされた。ターゲットを分子崩壊によって消滅させるこの銃は、ノーザ星人に対して唯一の有効な武器であり、神秘の銃「ジリオン」と命名された。マリス防衛軍は、ジリオンを活用して戦局を打開すべく、ジリオンを持つにふさわしい3名のエキスパート/JJ、アップル、チャンプを選抜し、スペシャルチーム「ホワイト・ナッツ」を編成した。以降、ホワイト・ナッツとノーザ星人の死闘が繰り広げられる。

声優・キャラクター
関俊彦、井上和彦、水谷優子、藤本譲、中村大樹、本多知恵子、速水奨、沢田敏子、小林修

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

光線銃玩具の販促アニメを傑作アクションに昇華させた〝ファンタジスタ"たち。

『エヴァ』出現辺りまで、玩具はアニメの上に君臨していた…。
『ガンダム』ですらガンプラ売りたい大人の都合に左右されていた…。

本作もそんな時代、セガの光線銃玩具の販促アニメ。
ところが後に『攻殻機動隊』を構築するスタッフらは反骨精神を披露。

とにかくこのアニメ、絵もキャラもストーリー展開もよく動く印象です。
いや…厳密に言えば、作画枚数等も決して多くなく、反復、使い回しも多用しているはず。
けれど彼らはどこで動く映像を見せて、場面を切り替えていけば、
視聴者をワクワクさせることができるか、よく分かっています。

優秀なサッカーの点取り屋は、ぼーっとしているようで、
ここぞという時に、動きがキレると言いますがまさにそんな感じ。

バッテリーが切れれば使えなくなる光線銃の残念仕様ですら、
ピンチシーンの演出に使う執念に、今見ても尚、胸が踊ります♪

動かして勝負に出た時に、作画が妙な粘り腰を発揮するのも本作の特徴。
作画崩壊の兆しを見せつつも、崩れそうで崩れず、
勝負どころではきっちり上げて来る。

この防御力は一体?と不思議に思っていたところ、
EDクレジットの動画仕上にて
当時まだ請負だった頃の京都アニメーションの名を発見して納得。
奴らのスタミナと運動量は当時から色々とおかしかった(笑)

CGも交えて絵を作る、今の時代からみれば、
絵はしょぼく見えるかもしれません。
けれど私はこういうエンタメ精神溢れる作画の仕事にこそ星★5つをあげたいです。

DVDレンタルなし。先日あにこれで行われた80年代名作アンケートでも除外w
(あれは本当に納得できませんでした(泣)スタッフのみなさんしっかりして下さいよ~。)
一部で動画配信されていて、私もそこで視聴しましたが、
アニメは動かして楽しませる。という原点を再認識できる作品。
数々の才能が構築したホワイト・ナッツの痛快ミッションを、
是非多くの人に体験して欲しいと感じる傑作ガン・アクションです♪

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24

66.9 10 テクノロジーで戦争なアニメランキング10位
OBSOLETE(Webアニメ)

2019年12月3日
★★★★☆ 3.5 (20)
96人が棚に入れました
2014年、突如現れた異星人は、人類に対して「交易」を要求。彼らが石灰岩の対価として地球にもたらしたのは、意識制御型汎用ロボット「エグゾフレーム」だった。戦闘機よりも戦車よりも銃よりも安価で、誰でも簡単に乗りこなすことができる「エグゾフレーム」は、またたくまに拡散し、世界を変えていく――。<異星人の交渉音声>「現在、すべての電波帯域に、五種類の言語で呼びかけています。我々は政治干渉も文化交流も望みません。ただ通商のみを希望します。石灰岩1,000キログラムにつき1つ、我々のテクノロジーの産物を提供します。国家、民族、思想、その他あらゆる差違について我々は区別いたしません。すべての地球人類に、平等に、均等に、この交換条件を提案いたします」

声優・キャラクター
田中正彦、森川智之、山野井仁、高木渉、本城雄太郎、杉本ゆう、大友龍三郎

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

魅力的な輪郭が見えたような気もする<55>

長らく今観てるで放置状態だったのを、前期の作品も盛大に観きれなかったこの時期に完走。
次の期が始まったばかりだと時間があっても観るものない日というのができちゃうのねん。
後半は、アザニア共和国の大統領がエグゾフレーム氾濫の黒幕だったり、ボウマンの部隊がそれに対抗しようとしたりと、メインの筋のようなものが通っていて視聴意欲を助けてた。
とはいえ、そういうラインを匂わせたにとどまり、国境の放置ぐあいからアメリカは敗北しつつあるんだろうね、と。
最終話の魔法少女はツッコミをもうちょっと尺を取るなり工夫するなりしてほしかった、バレバレのボケのネタフリ部分としては長い。
前半終了<54>
6話まで視聴。
5話では継続エピソードな辺りに期待が盛り上がったが、6話でエピソードが完結してみると悪くはないもののボリューム不足なせいかエピソードを片付けただけに見えますなぁ。
ゲームかなんかのムービーだったなら短い尺で世界観を伝える断片として優秀だけど、単体のアニメ作品としてみればキャラクターを継続させていない部分がどうしても欠けた印象になりましょう。
7話から12話が2020年冬に配信と予告されているけど、新型コロナ騒動でどうなるんでしょうなぁ。

5話いいじゃない<55>
5話まで視聴。
存在に気づいて2話まで観たときは導入部だけ無料なのかと思ってたけど、1週遅れくらいで全部見れるんやね。
てなわけで視聴継続、3・4話とネパール軍・PMCと様々な軍事的場面にロボが浸透していく場面を描いてて、これはまあ2話までと同じく断片的な世界観の提示。

5話でやっと続きものになって、攫われて消耗品扱いの少年兵達に外国の指揮官が現れて成長させる物語となった。
やっとお話の展開を見せ始めて6話は結構楽しみ。
前後編で終わりそうで、1話の尺がOP/ED抜くと10分程度だから30分番組にも満たないけど。

リアルミリタリ<55>
2話まで視聴。
虚淵玄主導の軍事描写がリアルなロボットアニメ、ほぼ現代が舞台。
ロボットというかパワードスーツっぽいけど。

1話は米軍の小隊が南米の紛争に介入するホットスタートでリアルミリタリ描写を見せに来て、背景説明は省略。
2話でロボット技術が宇宙人からもたらされて軍事に使われるまでを描き、世界設定が明かされる。
3話は予告を見た限り、インド・ネパールの紛争に視察に来た自衛官が巻き込まれる様子。

通してのストーリーというより、IFが持ち込まれたSF世界の各所を描いている様子。

シリーズ通したストーリーが無い(あるいは始まっていない)し、戦闘シーンにしても痺れる描写は特に無く、リアルでよろしいですなぁ止まりだし、面白いじゃなく面白くなるかもしれないって所。
TVでやってりゃ観るレベルだけど、課金してまで続きが見たくなるほどでもないなぁ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 0

62.4 11 テクノロジーで戦争なアニメランキング11位
アップルシード アルファ(アニメ映画)

2015年1月17日
★★★★☆ 3.7 (33)
207人が棚に入れました
世界大戦後、国家や情報網が破壊し尽くされ廃墟となったニューヨーク。元・SWATのデュナンと、彼女の恋人で全身サイボーグのブリアレオスは、不本意ながらギャングから依頼された仕事をこなして日々の糧を得ていた。街を出たいと思いながらも叶えられない日々が続く中、自動兵器に襲われている男女を助けたデュナンとブリアレオス。アイリスとオルソンと名乗るこの二人との出会いはやがて、人類の希望を守るための戦いへと、二人の運命を導いていく。

声優・キャラクター
小松由佳、諏訪部順一、悠木碧、高橋広樹、名塚佳織、東地宏樹、玄田哲章、堀勝之祐

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

【かつてこんだけリブートしたアニメがあったでしょうか?でも好きだからサ・・・容赦なくぶった切るぜヨ】

頓挫したテレビシリーズを除いてもなんと5回目のアニメ化です
しかも続き物ではなく全部リブートってのが珍しい
原作はお馴染み、士郎正宗のメジャーデビュー作
戦争で荒廃した未来を舞台に女戦士デュナンとサイボーグになってしまった恋人ブリアレオスの活躍を描くSFアクションです


今回初の試みとしてシリーズ共通の舞台である未来都市「オリュンポス」は登場せず、オリュンポスに辿り着く前のデュナンとブリィを描くという物語になっています
戦争で廃墟と化したニューヨークを支配する悪党、双角に傭兵として雇われていた二人
双角との縁を切るべく受けた最後の仕事で、偶然にもドローンに襲われる少女アイリスと彼女に付き添う青年兵オルソンを助けることとなる
アイリスとオルソンは秘密任務の遂行中で何者かの追っ手が掛かっていた
果たしてアイリスとオルソンの真意と目的とは・・・


大好きな作品なので、それに5作目ってこともあって無礼千万、遠慮なく書いてきますねー


監督は2作目(04年版)と3作目(『エクスマキナ』)でも監督を務めた荒牧伸志
時系列的にはシリーズのエピソード0となるわけですが当然これまでのシリーズや原作とは一切無関係で完全に一新された世界観
つまり間違ってシリーズモノとして観ると矛盾だらけ


デュナンの人となりはリブートを重ねるごとに破天荒な男勝りからどんどん人間の女の子らしくなっていきますが、今作は例の通り苦悩、葛藤する様が描かれていて、たぶん“史上最も弱いデュナン”です


04年版で注目を集めたトゥーンシェードは用いず、『STI』や『ハーロック』で採用された写実的なCGで描かれたキャラデザ
それに演じるのが小松由佳さんってことでシリーズ中一番若いはずなのに、むしろ一番老けて見えるのが笑えます
↓声と見た目だけで年齢を表すとこんな感じですかねw↓
真綾デュナン<鶴デュナン<原作デュナン=勝生デュナン<小林デュナン<小松デュナン


トゥーンシェードの先駆者たるはずの荒牧監督
本人も言ってますけど、いまや『楽園追放』でトゥーンシェードが市民権を得た現代ではむしろ時代錯誤なんですよね;
しかし今作で写実的なCGに回帰したのには、今作がオリュンポス絡みの政治的、哲学的なお話ではなく、もっと身近な物語であるため、ドラマ性との協調を図る意味が込められてるそうです







でもホントのところは主な顧客が日本人じゃなくて欧米のファンだからでしょ、ってオイラ思った(爆
監督は『HALO』とか『STI』である程度世界的な評価も貰ってましたし、「MASAMUNE SHIROW & SHINJI ARAMAKI」の名前に飛びつく欧米人がメインターゲット、日本人はついでなんじゃないかとw
実は欧米では日本に先駆けて2014年7月には円盤が発売されてます
先に英語版を作ってた、ってのと競合映画の多い時期をあえて避けるという意味で2015年1月上映ってワケです
あっ、でも日本の劇場でも限定先行発売というカタチで円盤を手に入れることが出来ますよ


確かに映像表現的にはシリーズ中最高のクオリティですb
かの巨匠ジェームズ・キャメロンも絶賛(凄い)
話題の男、虚淵玄も絶賛(ってかキャメロンと同列かよw)
ニューヨークという現実の都市の朽ち果てた姿もリアリティ重視の映像のお陰で臨場感たっぷり
あまり制作時間に余裕の無かった作品ながらよくぞここまで!って感服ですわ


・・・いや;
でも流石に【上乳とおへそ丸出しのタンクトップ姿】のキャラデザはどうかと思いますよw兵士としてw


双角、マシューといった原作ではお馴染みながらアニメ化されてなかった人物たちがかなり無理矢理ではあるが登場
デュナンやブリィとの腐れ縁が明かされます
あ、マシューは別作品でアニメ化してたかw


ランドメイト、多脚戦車といったお約束のメカも登場・・・でもランドメイト戦だけはケレン味たっぷりの『ⅩⅢ』が一番かっこよかったなぁ・・・


声の演技の聞きどころとしては荒廃した世界に絶望し、苦悩するデュナンを演じる小松さん
それと謎の少女アイリスを演じる悠木碧ちゃんに注目したいですね
そしてニッポン放送のよっぴー(爆


うーん、でもエンドロール前とエンドロール後のエピローグは蛇足でしかないよねぇ・・・無理矢理過ぎるぅ・・・w


あぁ、でも音楽は“今回も”素晴らしかったですよ
CAPSULEの中田ヤスタカ、RIP SLYMEのDJ Fumiya、tofubeats、RAM RIDER、80KIDZ、nishi-ken・・・とまあそうそうたる、そして現代のEDMをリードするメンツ
毎度音楽面に関しちゃホント完璧ですよ、このシリーズb


ところで・・・オイラの個人的には士郎正宗って
「攻殻<アップル<ドミニオン<ブラックマジック」
なんですわ
【戦車流行ってますし、『ドミニオン』もう一回アニメ化しようぜ?】

投稿 : 2024/12/21
♥ : 20
ネタバレ

もぐりん。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アニメ作品では、人の3DCGのリアル描写はこのくらいで止めておいたほうがいい

士郎正宗原作漫画のフル3DCGアニメーション、同名のフルCGアニメが
2004年に公開されていますが、続編ではなく、原作1巻以前のエピソードを
描いています。

つまり原作にはないオリジナルストーリーってことになりますね、
ただ、忠実に原作以前の世界観かと言えばそうではないようです。

前2作はフルCGだけどあえてセルアニメ調の仕上げでしたが、本作は
実写に近いフォトリアル調で制作されています、この辺りは好みの
分かれるところですね。

【ストーリー】
大戦後の廃墟で暮すブリィとデュナン、その土地を仕切る双角と言うヤクザな
サイボーグの下で傭兵として働くが、 ある仕事でアイリスとオルソンを
やむを得ず助けたブリィとデュナンが巻き込まれた形で行動を共にする。

【登場人物】/【CV】
デュナン・ナッツ :本作の主人公でメインヒロイン /小松由佳
ブリアレオス・ヘカトンケイレス :デュナンの恋人で相棒 /諏訪部順一
アイリス :本作のキーマンの少女 /悠木碧
オルソン :アイリスの用心棒 /高橋広樹
双角   :ブリィとデュナンの雇い主 /玄田哲章
タロス  :アイリスを狙うサイボーグ /東地宏樹
ニュクス :タロスの仲間女性型サイボーグ /名塚佳織


【感想】
原作ファンで、作品既読、キャラも世界観も十分とは言えないまでも理解
しているつもりです、原作以前の各キャラ達のストーリーと言うことで、
非常に楽しみにして視聴しましたが・・・

うーーーーーーん、ヌルイです(´・ω・`)

いや、アクションや戦闘シーンはサスガに素晴しい!前作を超えるものだと
思います! CGを動かすためのモーションキャプチャーには、
フランス外人部隊の元兵士、細川氏を起用するなど動きや銃火器の取り扱いは
リアルと言うよりは本物であり、最大の見所でもありますww 

爆発や火器の発砲シーンなどはリアルで迫力満点で拘りを感じるところ!
(多脚砲台の主砲ってレールガンなんじゃないかな??)

廃墟や背景の描きこみも精細で、奥行きや立体感が強調された作画で秀逸!
廃墟という閉鎖された空間をうまく表現しています。

キャラクターデザインも、ブリアレオスとかのサイボーグ達の質感は今まで
観た中でも最高です、 ただですね(;^_^A

やっぱりデュナンとかの人の表現はまだまだだな・・っと 静止画なら普通に
見えるCGでもリアルになればなるほど動きが気持ち悪くなるんですよw

特に表情のつきかたとかね、あまりリアルになり過ぎると実写でよくね??
ってことにもなりかねない、この辺りだけは劇場版1作目の方が良かったな。

これはもう好みの問題だけどね^^

ストーリーも原作の重いイメージ比べるとかなり軽め、デュナンは父親から
人の殺し方を精神から叩き込まれたマシーンのハズ、序盤地下鉄で攻撃された
直後にも関わらず、無防備に地下鉄出入り口から明るい外に出る描写は違和感が
ありました、 その点ブリィの動きは常に用心深く原作のイメージのままでしたw

なんにせよ、デュナンってもっと活発で先走るジャジャ馬なんだよ、それを後衛の
ブリィがブツブツいいながら援護するシーンしか知らない(笑) この映画のデュナン
は大人しくて、らしくない感じだった^^

驚いたのは、双角w このキャラは原作だとズル賢い三下イメージだけど、この
役やキャストもハマリ役で良かった(´▽`) 意外にも名脇役だと見直したよ(笑)

リブートということで、原作とはまた違った解釈でのゼロスタートと考えれば
この作品もアリなのかな??

{netabare}
ED後に出てきたアイリスと同じ顔のバイオロイド、「HITOMI」のネームプレート
をしてたw 原作に直接つながるシーンでちょっと感動した(笑)
{/netabare}

まぁ あえておススメはしないかな(;^_^A 3DCGが普通に見れて、
アクションや、アップルシードが好きなら観てみて下さい(´▽`)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

おそらく、ジェームズキャメロンの「銃夢」よりは面白い(笑)

元々、「サイバーパンク」漫画はフランスバンドデシネの巨匠「メビウス」と「エイリアン」や「バタリアン」の脚本家であり、「2001年宇宙の旅」や「スターウォーズ」の特殊効果マンだった「ダンオバノン」が1970年代のフランスSF漫画雑誌「メタルユルラン」(英語表記:ヘビーメタル)で発表した短編漫画が出発点であり、その後、リドリースコットの「ブレードランナー」やジェームズキャメロンの「ターミネーター」などの映画を経て、大友克洋「AKIRA」、宮崎駿「風の谷のナウシカ」などの和製サイバーパンク漫画が生まれ、そして士郎正宗をはじめとする多くの漫画家が1980年代に大量生産していった。

80年代から90年代にかけてのSF漫画やアニメのほぼすべてを席巻したといっても構わない。核戦争で荒廃した都市、売春婦、サイボーグなどなど。。。どこかで見たような類似ネタが多く散見される。

中でも大阪の中小出版社出身という、当時からしてもありえないデビューの仕方をした士郎正宗の「アップルシード」はその完成度から見ても1985年当時とは到底思えないクオリティと先見性に満ち、その後大手講談社に渡ってメジャー化したかと思いきや、さらに難解な漫画である世紀の傑作「攻殻機動隊」を世に送り出すこととなる。

さて、今回の「アップルシード アルファ」は1985年当時OVAで製作されたアニメ(しかも制作会社はガイナックス)を3DCGアニメでリメイクした「アップルシード」2004年と「エクスマキナ」2007年を同アニメで監督した荒巻監督が更にリブートするというかなりややこしい経緯のあるアニメである。

3DCGのクオリティは2004年の頃からすると数段レベルが上がっており、特に機械の質感やディティールがほぼ実写と変わらないレベルなのには驚いたが、正直内容はさほど面白くはない。。というよりも脚本より映像のクオリティに全力集中することに躍起になっており、構成や演出はあまり考えていないようである。なので映画単体としてはあまり面白くないのだが、1980年代から約30年の時を経て、2Dの頃と3Dの現代とを比較すると映像の歴史というか「アナログ」から「デジタル」への移行が見えてそれこそ本作の主題である「テクノロジーと人とのあり方」の変容に驚かされるのである。

一見、30年も前の漫画なので古臭くなると思いきや主題はもちろんのこと、士郎正宗の漫画作品が後のゲーム「メタルギア」「バイオハザード」や皆川亮二の漫画「スプリガン」「アームズ」、木城 ゆきと、園田健一の一連の漫画などに多大な影響を与えたことが分かった。

それだけでも本作の価値はあったし、この監督の前作「キャプテンハーロック」なんかよりは全然面白かった。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7
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